以前別の記事にも記載したと思いますが、インフラエンジニアの仕事はそれまでに本人が培ってきたバックグラウンドが強く影響する職種です。
年代別インフラエンジニア転職・就職術(全5記事)
インフラエンジニアはキツイ?未経験でも転職できる?
├─【10代IT未経験】インフラエンジニアになる方法!目指せ年収1000万!?
├─20代からインフラエンジニアになる方法!陥りやすい2つの注意点!
├─【30代IT未経験】インフラエンジニアになる方法!30代に求めるものとは?
└─40代からインフラエンジニアへ未経験から転職できる?
40代IT未経験でもインフラエンジニアに転職できる?
絶対とは言い切れませんが、正社員としての転職はまず無理と考えるべきです。
ただし、フリーランスの場合はちょっと話が変わってきます。が、厳しいことには変わり有りません。
なぜバックグラウンドが重要になって来るのか
インフラエンジニアの業務内容は、直接ソースコードを作成し正常な動作とデバッグを繰り返すトライ&エラー型のプログラマーとは異なり、6割~7割はそれまでに蓄積した経験から答えを導き出す職種だからです。
入力機器から受け取った「入力キー情報をカーネルを経由してサーバが機能を実行するメカニズム」やネットワークを流れる「パケット内容」を直接目視することは出来ません。
例えば、正しくNICの設定を行ったはずなのに正常に画面表示が行われない等の問題が起きた場合、問題の切り分けを行うためにはどうしても経験が頼りになってきます。
この経験有無により問題解決までの時間が大幅に変わってきます。
経験が無い場合、サポート窓口へ問い合わせ、ログの収集等で場合によっては数週間、数か月費やすこともしばしばあります。
インフラエンジニアの方は、大抵過去に似た問題を経験している事が多く数秒で解決することが可能だったりします。
経験の有無で問題解決までに、数百万円( 金額にして )の差が出てきてしまうのです。
時間契約のSES契約の場合、この差は無視できる問題ではありません。
以前別の記事で「インフラエンジニアの年齢層は高い」と記事にしたことがありますが、雇用側企業が年配インフラエンジニアを好むのは、実はこんなところに理由があったりします。
インフラエンジニアに年齢の限界説はない?
私は長い間SEを続けてきましたが、雇用企業側が年齢を理由にインフラエンジニアを断った事例を見たことがありません。(フリーランスの話です)
私の所属する現場には60代のインフラエンジニアが大勢います。
私の部署も年配エンジニアの技術を若年層のエンジニアへうまく引き継ぐ目的でいろいろ思考錯誤してきましたが、結局キャリアを引き継ぐことは出来ないことがわかってきました。
つい先日、年配エンジニアの方が年齢を理由に離職を願い出ていましたが、雇用企業側の承諾を得ることは出来なかったようです。結局3日/週の出勤で話がまとまったと聞きました。
雇用側があの手この手で引き留めようとします。インフラエンジニアに年齢による雇用の限界はありません。逆に現場から抜けられずに困っている人なら何人も知っています。
40代でインフラ系の技術を学ぶには?
不可能とは言いませんが、それなりの覚悟を必要とします。
スクールを活用する
圧倒的に若年層を対象とするスクールが多い中、中には年齢不問のスクールも存在します。
未経験者からエンジニアとして完全サポートで有名な「TECH::CAMP 副業・フリーランスコース」は特に年齢制限は設けていません。一度相談してみるのはいかがでしょう。
スクールではOSのインストールやアプリの導入など、誰でも思いつくようなものを学ぶのではなく、目に見えない部分を学ぶよう意識してください。
特にうまくいかない時、「講師の取った解決方法」や「使用したコマンド」と「その意味の理解」を中心に実践で経験することをお勧めします。
傍観者としての立ち位置ではなく、自分の問題として「解決に参加」するようにしていくべきです。
OSやアプリのインストールは初心者が一番初めに覚えることなので、そこは無視していいと思います。40代の方にそんなことを期待する現場はありません。
派遣で実績を積む
多少の経験があるなら、転職エージェントを活用するのも手です。ただし、転職エージェント側にもかなりの理解を必要とします。
ほとんどの場合は書類審査の時点で落とされてしまい、制約までこぎつけることは不可能でしょう。
けどあきらめないでください。はじめから分かっていたことです!
必ず力のある転職エージェントが見つかるはずです。
力のあるエージェントは、自社内で社員・派遣混合チームを作って現場へ派遣するところもあります。
うまく潜り込むことが出来ればインフラエンジニアとしてキャリアを積むことも可能です。
独学で学ぶ
ここで一つはっきりとお伝えしたいのが「現場でインフラエンジニアの技術を学ぶことは出来ません!」と言う事です。現場では、既に技術を持つエンジニアしか望んでいないと言う事です。
よっぽどお金の有り余っている企業でないと、内部で育てようとは思わないでしょう。現実的にはそんな企業見たことありません。
実は私自身、独学で覚えたくちです。
もう15年ほど前になりますが、当時私は「Javaプログラマー」としてIT業界に従事していました。
その時点では、まだJava言語はメジャー言語ではなかったため、多くの新卒者へjava言語を教える立場で業務に従事していましたが、それと同時に非常に疑問を感じていました。
「将来のライバルを自らの手で作って何がうれしいのか?」疑問はどんどん大きくなっていきます。
しかも「いずれ教え子に地分の場所を奪われるのでは?」なんて毎日考えていました。
「このままじゃまずいな! 自分にもっと多角的な付加価値をつけよう!」と決心にいたりました。
そこで当時オリックスレンタリースにいる友人のツテを使って、企業のお古になった「Express5800」というラックマウント型サーバ6台をラック毎、約760万で購入したことから始まります。
自宅サーバーというやつですね、しかも個人で「ne.jp」ドメインまで取得していました。(笑
今考えると個人で「ne.jp」を取得したのはこの日本でも私くらいかもしれません。当時は規制が緩かったのもありますが・・・
そして当時の私にそんな大金の持ち合わせは無かったので、当然「親」「知人」そして銀行からは融資を断られてしまっていたため「消費者金融」から借金して購入しました。
消費者金融に手を出すのは非常に怖かったのですが、それほど追い込まれていたんだと思います。
まだRAIDディスクの「イニシャライズ」もわかっていないうちからホスティング事業を始めることになりました。
当時は一般の方に格安でホームページを作って、そのユーザに自分のサーバ上のディスクを貸し出すといったビジネスが成り立っていたんです。
借金は収益から年内に返し終えることが出来ました。現在の私の技術はこの時覚えた技術です。
このやり方が今でも通用するとは思いませんが、独学で学ぶと言う事はそれなりに「リスクを伴う」と言う事が言いたかったのです。
前職の経験を生かす
むしろ交渉系の分野へ進出する。
私の知人で工場勤務からインフラエンジニアに鞍替えした方がいます。この方は工場の生産ラインで業務をこなしていたのですが、ある日突然会社から「工員全員をエンジニアに変える」という無謀な辞令が発動されたそうです。
当然コンピュータ自体触ったことのない方なので非常に戸惑い、辞めようとも思ったそうでが、その時はご家族の反対もあって「辞めることはいつでもできる」と割り切り、とりあえずやってみることにしたそうです。
やはり突然の環境の変化についていけず、当然技術の習得は出来なかったとの話でした。
ですが、現在は広く浅くITの知識を身に付け、顧客との折衝を専門に行っているそうです。
詳しく話を聞いてみると、同年代(40代以上)の技術者は話下手が多く、お客さんとすぐ喧嘩になってしまうとか・・・
そこで交渉役を専門に買って出ることにしたそうです。つまり技術者とタッグを組んでプロジェクトを推進することで自分の居場所を確保したと言う事でした。
前職が営業でもない方が交渉役を買って出たのは実に良いアイデアだと思います。
理由はわかりませんが、技術者と営業はとにかく仲が悪い!(笑
私もよく営業と喧嘩します。
私 :「チャチャっと出来るわけないでしょ? 4〇年+チャチャっ時間かかってるんですが・・!」
技術に敬意を表さない営業が多すぎます!(怒
この営業と技術者の間に需要があったのですね。見逃さなかったのはさすがに素晴らしい。
特化分野で勝負する!
注視するべきは、「雇用側企業はスーパーマンを欲している」と言う事です。
プロジェクトの開始が正式に認められると、ベンダー企業側はメンバーの編成を行います。
この時編成されたメンバーをみてプロジェクトの達成可否判定が「偉い人会議」で行われます。
編成の中に名前の知られたメンバーがいると「GO」の稟議が通りやすくなるようです。
下請けの企業はここを狙っています!
ここに自社の人間(社員・派遣)が入り込むことが出来れば、その後は下請け企業の安泰が約束されているからです。
ですが勝手に名前を使われたエンジニアはたまったものではありません。非常に責任が重くのしかかってくるため、ほとんどの人が名前が挙がることを嫌がります。
また、大抵の下請け企業の場合、自社の社員が使い物にならないことをよく知っています。だからこそこのポジションに据えることの出来る人間を外から呼び込みたいのです。
この役者になり切ることが出来れば、その後「インフラエンジニア」>「システムエンジニア(SE)」としての仕事は、本人が「望もうがが望むまいが」豪雨のように降ってきます。
そして「辞めたくても辞められないエンジニア」として利用されていくのです。
まとめ
絶対とは言い切れませんが、40代から正社員としてのインフラエンジニアへの転職はまず無理と考えるべきです。
インフラエンジニアの仕事は それまでに蓄積した経験から答えを導き出すことが多く、プログラマーのようにプログラムを直接目視できる職種ではない。
インフラエンジニアの仕事は、未経験者と経験者とでは、キャリアや経験がそのまま時間当たりの生産性として表れてしまう。しかしながら、プログラマーのような年齢限界説はインフラエンジニアには存在しない。
インフラ技術を独学で覚えるのはあまりお勧めしません。スクールや力のある転職エージェントを探しましょう。
技術以外の未経験でも( 営業と技術者の間に活路を見出す等)インフラエンジニアとして生き延びる方法はある。