Linux基礎知識(全17記事)
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仮想化とコンテナは、どちらもITインフラの効率化に役立つ技術です。仮想化は 複数のOSを同時に動かすのに適しており、セキュリティ面でも安心 できます。一方でコンテナは アプリごとに軽量な環境を作ることができ、開発スピードを向上 させるのに向いています。
どちらを使うか迷ったら、「OSレベルの分離が必要なら仮想化」「アプリ単位で軽量な環境を作りたいならコンテナ」と覚えておくと良いでしょう!
仮想化とは?基本的な仕組みを理解しよう
仮想化とは、1台のコンピューターの中に「複数のコンピューターを作る」技術です。最近では、企業のサーバー管理やクラウド環境の構築に欠かせない技術となっています。
例えば、1つの物理マシン(サーバー)にWindowsとLinuxの両方をインストールし、それぞれを同時に動かすことが可能です。これにより、1つのハードウェア上で複数の環境を運用できるようになります。
仮想化とは何か?
仮想化は、物理的なコンピューターの中に仮想的なコンピューターを作り出し、それぞれを独立した環境として動作させる技術です。
従来、サーバーやPCは1台に1つのOS(オペレーティングシステム)が動作するのが一般的でした。しかし、仮想化を活用することで、1つのサーバー内に複数のOSを同時に実行できるようになります。
仮想化の仕組みをイメージしよう
仮想化の仕組みをイメージしやすいように、身近な例えを用いて説明します。
仮想化は「マンションを借りる」イメージ
仮想化を分かりやすく例えると、1つの大きなマンションの中に複数の部屋がある状態です。
- 1つのマンション(物理サーバー)の中に、複数の部屋(仮想マシン)が存在する
- 各部屋には異なる住人(OS)が住んでおり、それぞれが独立した空間を持っている
- マンションの管理者(ハイパーバイザー)が全体を管理し、各部屋に適切なリソースを割り当てる
このように、仮想化によって1台のサーバーのリソースを複数のOSで共有することが可能になります。
仮想化のメリットとデメリット
仮想化技術には多くのメリットがありますが、一方でデメリットもあります。ここでは、それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
仮想化のメリット
- 複数のOSを同時に動かせる
WindowsやLinuxなど、異なるOSを1台のマシン上で同時に運用可能 - サーバーのリソースを有効活用できる
1つの物理サーバーを複数の仮想マシンで分割し、効率よく使用できる - 1台のサーバーで複数の役割を果たせる
例えば、1つのサーバーでWebサーバーとデータベースサーバーを同時に運用できる
仮想化のデメリット
- 物理マシンの負荷が増える
仮想マシンごとにメモリやCPUを使用するため、物理マシンに大きな負荷がかかる - 仮想マシンの起動に時間がかかる
仮想マシンはOSごとに動作するため、起動時間が長くなる傾向がある - 管理が複雑になる
複数の仮想マシンを適切に管理するための知識とスキルが必要
コンテナとは?仮想化との違いを知ろう

コンテナとは、アプリケーションごとに独立した環境を作り出す技術です。近年、クラウドサービスや開発環境の管理において、コンテナ技術は急速に普及しています。
仮想化ではOS単位で環境を分離しますが、コンテナはOS全体を分けるのではなく、アプリ単位で環境を構築できます。この違いによって、より軽量で素早く動作するのが特徴です。
コンテナとは何か?
コンテナは、アプリケーションを実行するために必要なファイルやライブラリを1つのパッケージにまとめ、独立した環境を作る技術です。
従来の仮想化では、OSごとに仮想マシン(VM)を作成していましたが、コンテナではホストOSを共有しながら、アプリ単位で分離された環境を実現できます。
コンテナの仕組みをイメージしよう
コンテナの概念を、日常生活に例えて考えてみましょう。
コンテナは「シェアハウス」のイメージ
コンテナをシェアハウスに例えると、1つの家(OS)に複数の住人(アプリ)が住んでいる状態です。
- 住人(アプリ)は、それぞれの個室(コンテナ)に住んでいる
- キッチンやバスルーム(OSのカーネル)は共有しながら生活する
- 各部屋は仕切り(コンテナ技術)で区切られているため、他の住人の影響を受けにくい
このように、コンテナではホストOSの一部を共有しながら、アプリごとに独立した環境を持つことができます。
コンテナのメリットとデメリット
コンテナ技術には多くのメリットがありますが、注意すべきデメリットもあります。ここでは、それぞれを詳しく解説します。
コンテナのメリット
- 軽量で起動が速い
仮想マシン(VM)はOSを立ち上げるために数分かかることがありますが、コンテナは数秒で起動できます。 - リソースの無駄が少ない
仮想マシンと比べ、OS全体をコピーする必要がないため、少ないメモリやCPUで動作します。 - 開発環境と本番環境を統一しやすい
開発者が使っている環境をそのまま本番環境に持ち込めるため、「環境の違いによる動作不具合」を防ぐことができます。
コンテナのデメリット
- ホストOSの影響を受ける
コンテナはホストOSのカーネルを共有するため、ホストOSの種類によっては動作しないことがあります。 - セキュリティ対策が必要
1つのコンテナに問題があると、ホストOSを通じて他のコンテナにも影響を及ぼす可能性があります。 - 仮想化と比べると新しい技術で、対応環境が限られることがある
企業の中には、まだコンテナ技術を本格導入していないところもあり、すべてのシステムで利用できるとは限りません。
仮想化とコンテナの違いを比較しよう

仮想化とコンテナはどちらもITインフラを効率化する技術ですが、それぞれの仕組みや特徴は異なります。どの技術を選択するかは、目的や使用環境によって変わります。
ここでは、仮想化とコンテナの違いを比較し、それぞれのメリット・デメリットを明確に理解できるように解説します。
仮想化とコンテナの違い(比較表)
以下の表に、仮想化とコンテナの主な違いをまとめました。
項目 | 仮想化 | コンテナ |
---|---|---|
環境の分離 | OS単位で完全に分離 | ホストOSのカーネルを共有 |
起動時間 | 数分かかる | 数秒で起動 |
リソース消費 | OSごとにリソースを使用 | 軽量で効率的 |
セキュリティ | OSごとに分離されているため強固 | カーネルを共有するため、注意が必要 |
このように、仮想化はOS単位で環境を分離するためセキュリティが強固ですが、リソース消費が大きく起動にも時間がかかります。一方、コンテナは軽量で起動が速く、リソースの無駄を抑えられますが、カーネルを共有するためセキュリティには注意が必要です。
次の章では、具体的な使用シーンに応じた仮想化とコンテナの使い分けについて解説します。
どんなときに仮想化とコンテナを使うの?
仮想化とコンテナは、それぞれ異なる用途に適しています。どちらの技術を導入すべきかは、目的や環境によって異なります。
ここでは、仮想化が適しているケースと、コンテナが適しているケースを具体的に解説します。
仮想化が向いているケース
仮想化は、OSごとに環境を分離できるため、以下のようなケースに適しています。
- 1台のサーバーで複数のOSを動かしたい
- WindowsとLinuxを同時に運用する必要がある場合に便利です。 - 異なるOSをテストしたい
- アプリケーションの動作検証や互換性テストに適しています。 - セキュリティを重視したい
- 仮想化はOS単位で環境が分離されるため、各システムの安全性を高めることができます。
コンテナが向いているケース
コンテナは、軽量で起動が速く、環境を統一しやすいという特徴があるため、以下のようなケースに適しています。
- アプリの開発やテストを素早く行いたい
- コンテナは軽量で高速に起動できるため、開発の効率を向上させます。 - サーバーのリソースを節約したい
- 仮想マシンと比べて、メモリやCPUの使用量を抑えられます。 - 開発環境と本番環境を統一したい
- コンテナを利用することで、「開発環境では動いたが、本番環境では動かない」といった問題を防ぐことができます。
このように、仮想化とコンテナは、それぞれの特性を理解し、適切に使い分けることが重要です。
仮想化とコンテナの代表的なツール
仮想化やコンテナを活用するためには、適切なツールの選択だけでなく、実際に設定・運用する方法を理解することが重要です。
ここでは、物理基盤から仮想化、コンテナ化の流れを説明し、各技術の導入手順を解説します。
物理基盤
仮想化やコンテナを導入する前に、物理マシンの準備が必要です。基本的な環境を整えましょう。
仮想化やコンテナ技術を導入するためには、まず適切な物理環境を準備することが重要です。サーバーのスペック選定やOSのインストールを適切に行うことで、スムーズな運用が可能になります。
ここでは、物理サーバーのスペック要件とOSの選定について詳しく解説します。
物理マシンの準備
- サーバーやPCのスペックを確認(CPU、メモリ、ストレージ容量)
- 必要なOSをインストール(Linux, Windows など)
- ネットワーク設定を行う(固定IP設定、ファイアウォールの構成)
物理サーバーのスペック要件
仮想化やコンテナを導入するには、十分なハードウェアリソースが必要です。以下の表に、最低限のスペックと推奨スペックをまとめました。
項目 | 最低要件 | 推奨要件 |
---|---|---|
CPU | 4コア以上 | 8コア以上(VT-x対応) |
メモリ | 8GB | 16GB以上 |
ストレージ | 100GB(SSD推奨) | 500GB以上 |
ネットワーク | 1Gbps以上 | 10Gbps |
推奨要件を満たすことで、仮想マシンやコンテナを複数運用しても安定したパフォーマンスを維持できます。特に、仮想化を利用する場合はCPUのVT-x(Intel)やAMD-V(AMD)の対応が必要になるため、事前に確認しましょう。
OSのインストール
用途に応じて適切なOSを選択することも重要です。以下に、仮想化やコンテナ運用に適したOSをまとめました。
用途 | 推奨OS |
---|---|
エンタープライズ用途 | RHEL, CentOS, Rocky Linux |
開発・テスト用途 | Ubuntu, Debian |
Windows環境 | Windows Server 2019 / 2022 |
エンタープライズ向けでは、安定性と長期サポートが重要なため、RHELやRocky Linuxが選ばれます。開発・テスト用途では、パッケージ管理が容易なUbuntuやDebianが適しています。Windows環境での仮想化・コンテナ利用には、Windows Serverが最適です。
OSの選択後は、インストールメディアを作成し、サーバーへ適用します。具体的な手順は、公式ドキュメントを参照してください。
サーバーのスペック選定とOSのインストールを適切に行うことで、仮想化やコンテナの運用がスムーズになります。次のステップでは、仮想化技術の導入方法を解説します。
仮想化技術の導入
仮想化技術を導入すると、1台のサーバー上で複数のOSを同時に運用できます。これにより、ハードウェアの利用効率が向上し、異なるOS環境を簡単に管理できるようになります。
ここでは、仮想化の種類、導入手順、および具体的なツールのセットアップ方法について詳しく解説します。
仮想化の種類
仮想化には、大きく分けて2つの方式があります。それぞれの特徴と用途を理解し、自身の環境に適した方法を選択しましょう。
方式 | 特徴 | 代表ツール |
---|---|---|
ハイパーバイザー型 (Type-1) | 物理サーバー上に直接仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザー)をインストールし、複数のOSを同時に稼働させる。 エンタープライズ用途に適している。 | VMware ESXi, Microsoft Hyper-V, KVM |
ホスト型 (Type-2) | 既存のOS上に仮想化ソフトウェアをインストールし、その上で仮想マシンを作成する。 開発・テスト環境向け。 | VMware Workstation, VirtualBox |
仮想化を導入するには、適切なツールをインストールし、仮想マシンを作成する必要があります。以下に、代表的な仮想化ツールの導入手順を紹介します。
KVM のインストール(Linux)
- KVMをインストール
sudo apt update
sudo apt install -y qemu-kvm libvirt-daemon-system libvirt-clients bridge-utils
sudo systemctl enable --now libvirtd - 仮想マシンの作成
virt-install --name test-vm --memory 2048 --vcpus 2 --disk size=20 --os-variant ubuntu20.04 --cdrom /path/to/ubuntu.iso
VMware Workstation のインストール(Windows/Linux)
- VMwareをインストール
VMware公式サイト からインストーラーをダウンロード
- インストール後、仮想マシンを作成
「新規仮想マシンの作成」からOSをインストール
Hyper-V のインストール(Windows)
- Hyper-Vを有効化
Enable-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName Microsoft-Hyper-V -All
- 仮想マシンの作成
- 「Hyper-V マネージャー」を開く
- 「新規」→「仮想マシンの作成」を選択
- ウィザードに従い、仮想マシンの設定を行う(CPU、メモリ、ストレージなど)
- OSのインストールメディアを指定し、仮想マシンを起動
コンテナ技術の導入
コンテナ技術を活用すると、アプリケーションごとに独立した軽量な環境を作成できます。仮想マシンと比べて、起動時間が短く、リソース効率が高いため、開発・運用の効率化に貢献します。
ここでは、コンテナの仕組み、主要なコンテナツールのインストール手順について詳しく解説します。
コンテナの仕組み
コンテナは仮想化と異なり、ホストOSのカーネルを共有しながら、アプリケーションごとに独立した環境を提供します。以下の表で、仮想化との違いを比較します。
項目 | 仮想化 | コンテナ |
---|---|---|
分離の単位 | OS単位 | アプリ単位 |
リソース管理 | 各VMごとにCPU/メモリを確保 | 共有リソースを効率的に利用 |
起動時間 | 数分 | 数秒 |
コンテナツールのインストール
コンテナ技術を活用するには、適切なツールの導入が必要です。ここでは、Docker・Podman・Kubernetesのインストール手順を紹介します。
Docker のインストール(Linux)
- Dockerをインストール
sudo apt update
sudo apt install -y docker.io
sudo systemctl enable --now docker - コンテナの起動
docker run -d -p 8080:80 nginx
Podman のインストール(RHEL系)
- Podmanをインストール
sudo dnf install -y podman
- Podmanでコンテナを実行
podman run -d -p 8080:80 nginx
Kubernetes の導入
Kubernetes(K8s)は、コンテナを大規模に管理するためのオーケストレーションツールです。
- Minikube のインストール
curl -LO https://storage.googleapis.com/minikube/releases/latest/minikube-linux-amd64
sudo install minikube-linux-amd64 /usr/local/bin/minikube - クラスターの起動
minikube start
kubectl create deployment my-app --image=nginx
kubectl expose deployment my-app --type=NodePort --port=80
用途に応じてDocker・Podman・Kubernetesを適切に選択し、コンテナ技術を活用しましょう。
まとめ
仮想化技術とコンテナ技術は、それぞれ異なる特性を持ち、目的に応じた使い分けが必要です。本記事では、両者の仕組みと導入手順を詳しく解説しました。
最後に、どのような場面で仮想化とコンテナのどちらを選ぶべきか、比較表を用いて整理します。
仮想化とコンテナの選び方
仮想化とコンテナには、それぞれ強みと弱みがあります。以下の表を参考に、自身の用途に合った技術を選択しましょう。
用途 | 仮想化が適している場合 | コンテナが適している場合 |
---|---|---|
OSの分離 | ◎(異なるOSを完全に分離できる) | △(ホストOSのカーネルを共有) |
アプリのデプロイ | △(仮想マシン単位でデプロイ) | ◎(軽量で迅速なデプロイが可能) |
セキュリティ | ◎(OS単位での分離が可能) | ◯(コンテナ間の分離は可能だが、ホストカーネルを共有するため注意が必要) |
リソース効率 | △(仮想マシンごとにリソースを確保) | ◎(リソースの共有が可能で効率的) |
一般的に、以下のような基準で選択するとよいでしょう。
- 仮想化が適しているケース:
- 複数の異なるOSを同時に運用したい場合
- 完全に独立した環境でセキュリティを確保したい場合
- レガシーシステムの運用や、物理環境を仮想環境に移行したい場合
- コンテナが適しているケース:
- アプリケーションのデプロイを高速化したい場合
- 開発環境と本番環境の差異をなくしたい場合
- マイクロサービスアーキテクチャを活用し、スケーラブルな環境を構築したい場合
仮想化とコンテナの両方を適切に活用することで、より柔軟で効率的なITインフラの運用が可能になります。用途に応じた最適な選択を行い、システムの安定性とパフォーマンスを向上させましょう。