Shellの基礎知識(入門編)

【Shell入門】VSCode+WSLで環境構築しよう!

Shellスクリプトを学ぶなら、まずは実行環境の準備から始めましょう!この記事では、Windowsユーザーが無料で使える「VSCode」と「WSL(Ubuntu)」を組み合わせて、Shellを実行できる環境をかんたんに構築する方法をわかりやすく解説します。

Shellの基礎知識

Shellを学ぶには実行環境が必要!

Shellスクリプトを学ぶには、まず「Shellを動かす場所」を準備する必要があります。とくにWindowsユーザーは、何もしないとShellを直接使うことができません。ここでは、初心者が迷わず始められる環境を一緒に整えていきましょう。

Windowsユーザーにおすすめの方法とは?

WindowsでShellを使いたい場合、いくつかの方法がありますが、初心者にはどれがベストなのか迷うかもしれません。

ルーキー
Windowsってコマンドプロンプトはあるけど、それじゃダメなの?
いい質問だね!コマンドプロンプトは確かにコマンドが打てるけど、Linux系のShellとは別モノなんだ。今回は「LinuxのShell」が使える環境を目指すよ。
ビープロ

その中でも、無料・簡単・軽量という3拍子揃った「WSL(Windows Subsystem for Linux)」が最適です。そしてVSCodeと組み合わせることで、より快適にスクリプト作成が可能になります。

WSL+VSCodeの組み合わせが最適な理由

なぜWSLとVSCodeの組み合わせが初心者にとってベストなのか?それは次の3つの理由からです。

理由内容
① 無料ですぐ使えるWSLもVSCodeも完全無料でインストール可能。余計な出費ゼロ。
② 実際のLinux環境に近いWSLはUbuntuなどのLinuxディストリビューションを動かせるため、実務に近い操作が可能。
③ VSCodeが初心者に優しい補完機能や色分けがあり、スクリプトが見やすい・書きやすい。

ルーキー
「Linuxっぽい環境」って難しそうな響きだけど、初心者でもいける?
もちろん!この記事では全部ステップバイステップで解説するから、安心してね。
ビープロ

本記事でできるようになること

この記事を読みながら進めることで、次のようなことができるようになります。

  • WindowsにWSL(Ubuntu)を導入する
  • VSCodeをインストールし、WSLと連携する
  • 実際にShellスクリプトを書いて実行する

ルーキー
「実行できた!」っていう体験、早くしてみたいな!
それがこの記事のゴールだよ。一緒に楽しく進めていこう!
ビープロ

WSL(Ubuntu)の導入手順

ここからは、Shellを動かすために必要な「WSL(Windows Subsystem for Linux)」をインストールしていきます。名前は難しそうですが、やることはシンプルです。ルーキーでも問題なく進められるよう、一緒に手順を確認していきましょう。

ルーキー
あれ?MacでもShell使いたいんだけど、この作業必要?
いい質問!MacはもともとLinuxベースだから、ターミナルを開けばすぐにShellが使えるよ。WSLの導入はWindowsユーザー向けの準備だと思ってOK!
ビープロ

WSLとは?仕組みとメリットをざっくり解説

まず「WSLってなに?」という疑問を解消しておきましょう。仕組みを深く知る必要はありませんが、なぜ使うのかがわかると安心して導入できます。

ルーキー
WSLって、要するに何なの?よくわかってなくて…
一言でいうと、Windowsの中で「Linuxっぽい環境」が動くようになる仕組みだよ。つまり、WindowsにLinuxをインストールするんじゃなくて、サブ的にLinuxが使えるってイメージ!
ビープロ

WSLを使うことで、以下のようなメリットがあります。

メリット内容
手軽にLinuxを体験できる仮想マシンやデュアルブートのような難しい設定が不要
実務に近い環境が使えるUbuntuを中心に、実際の開発現場と同じコマンドが使える
VSCodeと連携できるエディタとターミナルを行き来しなくて済むため、作業がスムーズ

WindowsにWSLをインストールする手順

それでは実際に、WSLをWindowsに導入する手順を見ていきましょう。ここでは一番かんたんな「wsl --install」コマンドを使って、まとめてセットアップする方法を紹介します。

ルーキー
PowerShellって、どうやって開くの?スタートメニューってどこ?
画面の左下にある「Windowsマーク(スタートボタン)」をクリックして、「PowerShell」と文字を入力してみて。出てきたアイコンを右クリックして「管理者として実行」を選べばOKだよ。
ビープロ

画面が青っぽい「PowerShellウィンドウ」が出たら、次の1行をコピーして貼り付けて、Enterキーを押そう。

wsl --install

ルーキー
Ubuntuって別にダウンロードしないといけないんじゃないの?
そこも安心して!このコマンドを実行すれば、WSLと一緒にUbuntuも自動でダウンロード&インストールしてくれるんだ。
ビープロ

再起動の案内が出たら、そのままWindowsを再起動しよう。再起動後にUbuntuのセットアップが始まるよ。

Ubuntuをインストールしよう

再起動後、自動的にUbuntuのセットアップが始まります。初回だけ少しだけ待ち時間がありますが、その後、ユーザー名とパスワードの設定を求められます。

ルーキー
あれ?再起動したけど、何も始まらないよ?
それ、たまにあるんだ。まずはスタートボタンをクリックして、アプリ一覧の中から「Ubuntu」を探して起動してみて。
ビープロ

もしアプリ一覧に「Ubuntu」が見つからない場合は、Ubuntuがまだインストールされていない可能性があります。その場合は、以下の手順で手動インストールができます。

  • スタートメニューから「Microsoft Store」を開く
  • 検索バーに「Ubuntu」と入力してEnter
  • 表示された「Ubuntu(バージョンなし)」を選び、「入手」ボタンをクリック

 

インストールが完了したら、「Ubuntu」を起動して初期設定を進めましょう。

ルーキー
ユーザー名って何を入れればいいの?
好きな名前でOK。ただし英字で短めが無難だね。パスワードも自由に決めて大丈夫だけど、忘れないように注意してね。
ビープロ

WSLの動作確認をしよう

最後に、WSLがちゃんと動いているか確認しましょう。Ubuntuのターミナルが表示されていれば準備は完了ですが、念のため次のコマンドを打ってみましょう。

ls

ルーキー
何かズラーッと文字が出てきた!これでOK?
うん、それでOK!「ls」はファイル一覧を表示するコマンドだから、出てきたってことは環境がちゃんと動いてる証拠だよ。
ビープロ

これでWSL(Ubuntu)の導入は完了です!次はいよいよVSCodeとの連携へ進んで、Shellを書いてみましょう。

VSCodeを使ってShellを書いてみよう

ここからはいよいよ、コードを書くステージに入ります。Visual Studio Code(通称VSCode)を使えば、Shellスクリプトを快適に書いて実行できます。初心者でもすぐ使えるように、インストールからセットアップまで丁寧に解説していきます。

VSCodeのインストール手順

まずはVSCode本体をインストールしましょう。公式サイトから無料でダウンロードできます。

ルーキー
えーっと、VSCodeってどこからダウンロードするの?
「Visual Studio Code」で検索してもいいけど、公式サイトから直接ダウンロードするのが確実だよ!
ビープロ

Windows版を選び、インストーラーを起動してそのまま「次へ」を連打すればOK。特別な設定は不要です。

Parallels(ARM版Windows)をご利用の方へ

MacでParallelsを使ってWindowsを動かしている場合、インストールできてもVSCodeが正常に動作しないことがあります。これは、Parallels上のWindowsが「ARM版」で、VSCodeやWSLとの互換性に制限があるためです。

ルーキー
ParallelsでWindows動かしてるけど、VSCodeがうまく動かない…?
それ、ARM版Windowsが原因かも。拡張機能やWSLとの連携ができないことがあるんだ。Macのターミナルで進める方が確実だよ。
ビープロ

※今後、Macユーザー向けのShell入門も別記事で紹介予定です。

ルーキー
インストールできたら、何か設定いる?
今はまだ何もしなくてOK!次のステップで「拡張機能」を入れてWSLとつなぐからね。
ビープロ

▶︎ VSCodeのインストールについては下記記事を参照ください。

拡張機能「Remote - WSL」の導入

VSCodeに「Remote - WSL」という拡張機能を入れることで、Ubuntu上でコードを書けるようになります。

ルーキー
拡張機能ってなんか難しそう…
大丈夫!VSCodeの左にある「四角が4つ並んだアイコン(拡張機能)」をクリックして、「Remote - WSL」って検索して、「インストール」を押すだけでOK。
ビープロ

インストールが完了すると、VSCodeの左下に「>< WSL: Ubuntu」と表示されるようになります。

ルーキー
WSLとつながってるってこと?
その通り!次はこの状態でShellスクリプトを書いていくよ。
ビープロ

WSLと連携してShellを実行する方法

Remote - WSLでUbuntu環境に接続したら、その中でファイルを作ってスクリプトを実行できます。以下が手順です。

  1. 左上の「ファイル → フォルダーを開く」から、Ubuntu内の任意のフォルダを開く
  2. 新しいファイルを作成して「test.sh」などの名前を付ける
  3. 中身を入力して保存(次のセクションで内容を解説)

ルーキー
Ubuntuの中のフォルダって、どこにあるの?
初期状態では「/home/ユーザー名」っていうフォルダが開くよ。わからなければ、画面の上のアドレスを見てね。
ビープロ
ルーキー
「test.sh」って何?名前は決まってるの?
名前は何でも大丈夫だよ!でも「.sh」って拡張子をつけることで、「これはShellスクリプトだよ」ってコンピュータに伝えることができるんだ。
ビープロ

この「test.sh」ファイルの中には、Shellで実行したい命令を1行以上書く必要があります。中身が空だとエラーになります。

ファイルを保存したら、ターミナル(Ctrl+@キー)を開いて、次のように実行してみましょう。

sh test.sh

ルーキー
shって何のコマンド?
これは「このスクリプトをShellで実行してね」って意味のコマンドだよ。test.shの中に命令が書かれていれば、それが順番に動くんだ。
ビープロ

まだファイルの中身が空なので、この時点ではエラーが出力されますが気にしないでください。次のセクションで、実際に命令を書いて動かしてみましょう!

「Hello, World!」を書いて実行してみよう

それでは、さきほど作成した test.sh ファイルに、最初の命令を書き込んでみましょう。ここでは、定番の「Hello, World!」を表示させるプログラムです。

echo "Hello, World!"

ルーキー
この1行をtest.shに書けばいいの?
そうだよ!さっき作ったtest.shをエディタで開いて、この1行を書いて保存してみよう。
ビープロ

保存できたら、ターミナルで次のコマンドを実行します。

sh test.sh

ルーキー
「Hello, World!」って出たー!
おめでとう!それが最初のShellスクリプトの実行結果だよ。この一歩が、全部のはじまりなんだ。
ビープロ

よくあるトラブルとその対処法

ここでは、WSLやVSCodeを使い始めたときに遭遇しやすいエラーやトラブルの原因と解決方法を紹介します。うまく動かなくても慌てず、1つずつチェックしていきましょう。

Ubuntuが起動しないとき

WSLをインストールしたのに、Ubuntuの画面が表示されない場合は、いくつか原因が考えられます。

ルーキー
インストールしたのに何も起きない!どうしたらいいの?
まずはスタートメニューを開いて「Ubuntu」と入力してみよう。アプリとして表示される場合は、手動で起動してみて。
ビープロ

それでも表示されない場合は、Ubuntu自体が正しくインストールされていない可能性があります。以下の手順で再インストールを試してみてください。

  • 「Microsoft Store」を開く
  • 検索欄に「Ubuntu」と入力
  • 「Ubuntu(バージョン番号なし)」を選択して「入手」ボタンをクリック

インストール後、「Ubuntu」と検索して表示されるアプリを開くと、初期セットアップが開始されます。

VSCodeでWSLが認識されない場合

拡張機能「Remote - WSL」を入れても、Ubuntuとの接続ができない場合は、いくつかの原因が考えられます。

ルーキー
VSCodeで「Remote - WSL」って入れたのに、全然つながらないよ…
それ、Parallelsで動かしてるWindowsが「ARM版」かも。ARM環境だと、Remote - WSLが正常に動作しないことがあるよ。
ビープロ

以下のケースも確認してみてください。

トラブル内容対処法
左下に「WSL: Ubuntu」と表示されない一度VSCodeを再起動してみる。拡張機能がうまく読み込まれていない可能性あり。
Ubuntuと接続しようとしても失敗するWSL自体がうまく動いていない可能性あり。PowerShellで wsl --list を実行して、Ubuntuが登録されているか確認。
そもそもWSLが入っていないwsl --install を再度実行して、インストール状況を確認する。

その他のエラーの原因とヒント

「Ubuntuが表示されない」「コードが実行できない」「コマンドが通らない」など、原因不明のエラーに遭遇したときは、まず以下のポイントをチェックしてください。

  • 再起動をしていない → WSLは初回再起動が必要です
  • ファイル名が .sh になっていない → 拡張子が違うと実行できません
  • コマンドが誤字・脱字になっている → ダブルクオーテーションやスペースなど注意
  • ファイル保存を忘れている → 保存してからターミナルで実行

ルーキー
それでも動かないときは?
焦らなくて大丈夫!画面に出たエラー文をそのまま検索すると、同じ状況の人の解決法が見つかることが多いよ。
ビープロ

ShellやWSLのエラーは、ほとんどが初期設定や単純なミスによるものです。少しずつ慣れていけば、必ず克服できます!

▶ 続きはこちら:Shell入門:echoで文字を表示してみよう

よく読まれている記事

1

IT入門シリーズ 🟢 STEP 1: ITの基礎を知る(ITとは何か?) 📌 IT初心者が最初に学ぶべき基本知識。ITの概念、ネットワーク、OS、クラウドの仕組みを学ぶ ...

2

「私たちが日々利用しているスマートフォンやインターネット、そしてスーパーコンピュータやクラウドサービス――これらの多くがLinuxの力で動いていることをご存じですか?無料で使えるだけでなく、高い柔軟性 ...

3

この記事は、Linuxについて勉強している初心者の方向けに「Shellスクリプト」について解説します。最後まで読んで頂けましたら、Shellスクリプトはどのような役割を担っているのか?を理解出来るよう ...

-Shellの基礎知識(入門編)