Shellスクリプトを学ぶなら、まずは実行環境の準備から始めましょう!この記事では、Windowsユーザーが無料で使える「VSCode」と「WSL(Ubuntu)」を組み合わせて、Shellを実行できる環境をかんたんに構築する方法をわかりやすく解説します。
Shellの基礎知識
🟡 Shell の基礎知識(入門編)
📌 「動かす楽しさ」を最短で体感!Shellの第一歩をここから。
├─【Shell入門①】VSCode+WSLでShellを始めよう!
├─【Shell入門②】echoで文字を表示してみよう
├─【Shell入門③】変数を使って計算しよう
├─【Shell入門④】条件分岐(if文)で処理を分けよう
├─【Shell入門⑤】ループ処理(for文)を使ってみよう
├─【Shell入門⑥】関数で処理をまとめてみよう
└─【Shell入門⑦】アンケート集計スクリプトを作ってみよう
🟡 Shell の基礎知識(基礎編)
📌 条件分岐やループなど、実務で通用する基本操作を網羅。
🟡 Shell の基礎知識(実践編)
📌 現場レベルの自動化スクリプトを実装しながら学ぶ実戦形式。
Shellを学ぶには実行環境が必要!
Shellスクリプトを学ぶには、まず「Shellを動かす場所」を準備する必要があります。とくにWindowsユーザーは、何もしないとShellを直接使うことができません。ここでは、初心者が迷わず始められる環境を一緒に整えていきましょう。
Windowsユーザーにおすすめの方法とは?
WindowsでShellを使いたい場合、いくつかの方法がありますが、初心者にはどれがベストなのか迷うかもしれません。


その中でも、無料・簡単・軽量という3拍子揃った「WSL(Windows Subsystem for Linux)」が最適です。そしてVSCodeと組み合わせることで、より快適にスクリプト作成が可能になります。
WSL+VSCodeの組み合わせが最適な理由
なぜWSLとVSCodeの組み合わせが初心者にとってベストなのか?それは次の3つの理由からです。
理由 | 内容 |
---|---|
① 無料ですぐ使える | WSLもVSCodeも完全無料でインストール可能。余計な出費ゼロ。 |
② 実際のLinux環境に近い | WSLはUbuntuなどのLinuxディストリビューションを動かせるため、実務に近い操作が可能。 |
③ VSCodeが初心者に優しい | 補完機能や色分けがあり、スクリプトが見やすい・書きやすい。 |


本記事でできるようになること
この記事を読みながら進めることで、次のようなことができるようになります。
- WindowsにWSL(Ubuntu)を導入する
- VSCodeをインストールし、WSLと連携する
- 実際にShellスクリプトを書いて実行する


WSL(Ubuntu)の導入手順
ここからは、Shellを動かすために必要な「WSL(Windows Subsystem for Linux)」をインストールしていきます。名前は難しそうですが、やることはシンプルです。ルーキーでも問題なく進められるよう、一緒に手順を確認していきましょう。


WSLとは?仕組みとメリットをざっくり解説
まず「WSLってなに?」という疑問を解消しておきましょう。仕組みを深く知る必要はありませんが、なぜ使うのかがわかると安心して導入できます。


WSLを使うことで、以下のようなメリットがあります。
メリット | 内容 |
---|---|
手軽にLinuxを体験できる | 仮想マシンやデュアルブートのような難しい設定が不要 |
実務に近い環境が使える | Ubuntuを中心に、実際の開発現場と同じコマンドが使える |
VSCodeと連携できる | エディタとターミナルを行き来しなくて済むため、作業がスムーズ |
WindowsにWSLをインストールする手順
それでは実際に、WSLをWindowsに導入する手順を見ていきましょう。ここでは一番かんたんな「wsl --install」コマンドを使って、まとめてセットアップする方法を紹介します。


画面が青っぽい「PowerShellウィンドウ」が出たら、次の1行をコピーして貼り付けて、Enterキーを押そう。
wsl --install


再起動の案内が出たら、そのままWindowsを再起動しよう。再起動後にUbuntuのセットアップが始まるよ。
Ubuntuをインストールしよう
再起動後、自動的にUbuntuのセットアップが始まります。初回だけ少しだけ待ち時間がありますが、その後、ユーザー名とパスワードの設定を求められます。


※もしアプリ一覧に「Ubuntu」が見つからない場合は、Ubuntuがまだインストールされていない可能性があります。その場合は、以下の手順で手動インストールができます。
- スタートメニューから「Microsoft Store」を開く
- 検索バーに「Ubuntu」と入力してEnter
- 表示された「Ubuntu(バージョンなし)」を選び、「入手」ボタンをクリック
インストールが完了したら、「Ubuntu」を起動して初期設定を進めましょう。


WSLの動作確認をしよう
最後に、WSLがちゃんと動いているか確認しましょう。Ubuntuのターミナルが表示されていれば準備は完了ですが、念のため次のコマンドを打ってみましょう。
ls


これでWSL(Ubuntu)の導入は完了です!次はいよいよVSCodeとの連携へ進んで、Shellを書いてみましょう。
VSCodeを使ってShellを書いてみよう
ここからはいよいよ、コードを書くステージに入ります。Visual Studio Code(通称VSCode)を使えば、Shellスクリプトを快適に書いて実行できます。初心者でもすぐ使えるように、インストールからセットアップまで丁寧に解説していきます。
VSCodeのインストール手順
まずはVSCode本体をインストールしましょう。公式サイトから無料でダウンロードできます。


Windows版を選び、インストーラーを起動してそのまま「次へ」を連打すればOK。特別な設定は不要です。
Parallels(ARM版Windows)をご利用の方へ
MacでParallelsを使ってWindowsを動かしている場合、インストールできてもVSCodeが正常に動作しないことがあります。これは、Parallels上のWindowsが「ARM版」で、VSCodeやWSLとの互換性に制限があるためです。


※今後、Macユーザー向けのShell入門も別記事で紹介予定です。


▶︎ VSCodeのインストールについては下記記事を参照ください。
拡張機能「Remote - WSL」の導入
VSCodeに「Remote - WSL」という拡張機能を入れることで、Ubuntu上でコードを書けるようになります。


インストールが完了すると、VSCodeの左下に「>< WSL: Ubuntu」と表示されるようになります。


WSLと連携してShellを実行する方法
Remote - WSLでUbuntu環境に接続したら、その中でファイルを作ってスクリプトを実行できます。以下が手順です。
- 左上の「ファイル → フォルダーを開く」から、Ubuntu内の任意のフォルダを開く
- 新しいファイルを作成して「test.sh」などの名前を付ける
- 中身を入力して保存(次のセクションで内容を解説)




この「test.sh」ファイルの中には、Shellで実行したい命令を1行以上書く必要があります。中身が空だとエラーになります。
ファイルを保存したら、ターミナル(Ctrl+@キー)を開いて、次のように実行してみましょう。
sh test.sh


まだファイルの中身が空なので、この時点ではエラーが出力されますが気にしないでください。次のセクションで、実際に命令を書いて動かしてみましょう!
「Hello, World!」を書いて実行してみよう
それでは、さきほど作成した test.sh ファイルに、最初の命令を書き込んでみましょう。ここでは、定番の「Hello, World!」を表示させるプログラムです。
echo "Hello, World!"


保存できたら、ターミナルで次のコマンドを実行します。
sh test.sh


よくあるトラブルとその対処法
ここでは、WSLやVSCodeを使い始めたときに遭遇しやすいエラーやトラブルの原因と解決方法を紹介します。うまく動かなくても慌てず、1つずつチェックしていきましょう。
Ubuntuが起動しないとき
WSLをインストールしたのに、Ubuntuの画面が表示されない場合は、いくつか原因が考えられます。


それでも表示されない場合は、Ubuntu自体が正しくインストールされていない可能性があります。以下の手順で再インストールを試してみてください。
- 「Microsoft Store」を開く
- 検索欄に「Ubuntu」と入力
- 「Ubuntu(バージョン番号なし)」を選択して「入手」ボタンをクリック
インストール後、「Ubuntu」と検索して表示されるアプリを開くと、初期セットアップが開始されます。
VSCodeでWSLが認識されない場合
拡張機能「Remote - WSL」を入れても、Ubuntuとの接続ができない場合は、いくつかの原因が考えられます。


以下のケースも確認してみてください。
トラブル内容 | 対処法 |
---|---|
左下に「WSL: Ubuntu」と表示されない | 一度VSCodeを再起動してみる。拡張機能がうまく読み込まれていない可能性あり。 |
Ubuntuと接続しようとしても失敗する | WSL自体がうまく動いていない可能性あり。PowerShellで wsl --list を実行して、Ubuntuが登録されているか確認。 |
そもそもWSLが入っていない | wsl --install を再度実行して、インストール状況を確認する。 |
その他のエラーの原因とヒント
「Ubuntuが表示されない」「コードが実行できない」「コマンドが通らない」など、原因不明のエラーに遭遇したときは、まず以下のポイントをチェックしてください。
- 再起動をしていない → WSLは初回再起動が必要です
- ファイル名が .sh になっていない → 拡張子が違うと実行できません
- コマンドが誤字・脱字になっている → ダブルクオーテーションやスペースなど注意
- ファイル保存を忘れている → 保存してからターミナルで実行


ShellやWSLのエラーは、ほとんどが初期設定や単純なミスによるものです。少しずつ慣れていけば、必ず克服できます!
▶ 続きはこちら:Shell入門:echoで文字を表示してみよう