エンジニアと呼ばれる仕事にもさまざまな種類があります。そんな中、インフラ業務の代表各とも言われるネットワークエンジニアとはどのような仕事なのか興味を持っている人もいるでしょう。
この記事では、ネットワークエンジニアの仕事内容や年収、年齢別の転職方法や必要な資格などについて解説していきます。
ネットワークエンジニアとは?
ネットワークエンジニアとは、ネットワーク機器(スイッチやルーター等)を扱う専門家というイメージを持たれる方が大半だと思いますが、実際にはファイアウォールや負荷分散装置等、様々なネットワークアプライアンスの設計、導入をも手掛ける職種です。昨今は特に進入防止や暗号化等セキュリティー関連に関する分野もネットワークエンジニアの作業範疇として捉えられている傾向にあります。
まぁ、自分の経験から思うことは、とにかく専門用語が多い・・・ 「OSI」「プロトコル」「レイヤ」「TCP」「UDP」「セグメント」「サブネット」「ブロードキャスト」「ポート」「L2」「L3」etc・・
なんのこっちゃ?
他のエンジニアが扱う「日本語を英語に変換」したような、何となくなじみのある専門用語とは異なり、完全に未知の用語が蔓延っています。
顧客相手に通じない・・通じない・・(笑
ネットワークエンジニアの一番つらいところは「ほとんどの顧客に話が通じないところ」だと個人的には思っています。
ネットワークとは?
そもそも言葉の定義からして曖昧な「ネットワーク」という単語ゆえに様々な捉え方があると思いますが、ネットワークエンジニアにとってのネットワークとは一体何でしょうか?
それは「ブロードキャストが届く範囲のネットワーク」であり、さらに「外部のネットワークへの通信」には「ルーター(L3スイッチ)」が必要になります。
ネットワーク内での個々の所在はIPアドレスで表します。IPアドレスとは、32桁の二進数で羅列されたネットワーク内の住所になります。
一般的には、人間にも分かり易いように「102.168.0.1(10進数)」と4つの数字を組み合わせて表記します。これは32桁の2進数を8桁ずつ区切って十進数に変換しています。
IPアドレスは、そのネットワーク機器が含まれる「ネットワーク部」と機器を特定する「ホスト部」からなります。ネットワーク部とホスト部の境界は任意に設定でき、「ネットマスク」として表記できます。
「192.168.0.1/16」なら「192.168」がネットワークを表し「16」がサブネットマスクとなります。ちなみに「16」ビットを表現できる最大数は「65,536」になるため、「65,536」個の機器を許容出来るネットワークと言う事になります。
同様にサブネットマスクが「24」、つまり「255.255.255.0」の場合は、32桁のIPアドレスのうち、24がサブネスクとなるため、残りの「8」ビットで表すことの出来る最大値「256」個の機器を許容できるネットワークになります。
つまり、このネットワークアドレス範囲が「ブロードキャストが届く範囲のネットワーク」と言う事になります。
ネットワークエンジニアの主な仕事内容
ネットワークエンジニアの仕事内容は、計画と設計、構築、テスト、運用の5つに分けることができます。
計画
「計画」とは「何のために」「どのようなネットワークを作りたいか」というユーザーのニ―ズを明確にすることです。
ネットワークとは、言わばさまざまなアプリケーションの組み合せによるコンピュータシステムのことであり、そして企業がそのようなコンピュータシステムを導入するには、必ず「目的」があります。主な目的としては、業務効率の改善やコスト削減、社員間での情報共有などのコミュニケーションの円滑化、新しいサ‐ビスの展開などがあげられます。
こうしたユーザーのニーズ、目的を「要求仕様」として取りまとめ、また、ユーザーの要求仕様をきちんと読み取って具体的な条件を考えていくことが「計画」のプロセスになります。
設計
ユーザーこの要求仕様を踏まえて、どのようなネツトワーク構成、システム構成にすればよいかを設計のプロセスで考えていきます。
ネットワーク設計では、機器の配置や接続構成を表した物理構成を考え、そしてサブネツトの接続構成を表した論理構成を決めることが最も基本的な作業となります。論理構成には、IPアドレッシング(IPアドレスの割り当てルール)やルーテイング設計なども含まれます。
また、ネツトワーク設計は(データ転送のみについて考えるだけではなく、不要な通信を遮断したり、コンピュータウイルスや不正アタセスに対抗したりなどのセキュリティについても考慮する必要があります。
構築
実際に機器を配置してケーブル配線を行い、ルータやスイッチなど、ネットワーク機器の設定を行います。
テスト
構築したネットワークが正しく動作しているかどうかを検証します。検証(UTとも言う)によって、事前に考えていたとおりの動作を確認できればネットワークの構築は完了です。
運用管理
運用では、ネットワークが正しく機能していることを監視します。何か障害が発生した場合にはその障害を解決します。
ネットワークエンジニアへの転職方法と年収
ネットワークエンジニアは、扱う範囲がネットワーク技術に限定されるため、他と比べて比較的未経験からの転職には向いている職種です。 とは言え、ネットワークエンジニアへの転職には、当然、仕事に必要なスキルが求められます。 特にネットワークエンジニアとしての経験がない場合には、予め何かしら資格を取得しておいた方がいいでしょう。 資格取得に向けた勉強方法としては、まず過去問題集を何度も解いてみるのも良い方法といえます。
「ネットワークエンジニアに求められる知識や資格・スキル」については、後程詳しくご説明します。
気になる転職方法については、年代別に難易度が異なります。
20代での転職
20代の場合は、経験より順応性にポイントを置くと良いでしょう。新しい職場でのやり方に順応できることをアピールし、そのうえで基礎的な知識を身につけていることが重要です。
最も20代の場合は、専門のスクールに通うことが最も効率の良い方法となります。昨今のITスクールは、卒業後の転職サポートまで行ってくれるため、ネットワークエンジニアへの転職はスムーズに行えます。無料で通える専門スクールも存在するため、積極的に活用していくといいでしょう。
ネットワークエンジニアは比較的に未経験者にも門戸が広い分野に該当します。ネットワークの技術はプログラム言語と異なり、一度技術を身に付けてしまえば将来にわたって有用な技術となります。 また、ネットワーク技術を土台にシステムエンジニアやデータベースエンジニアといったキャリアアップの道も開けます
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私の経験から言えることは、「ネットワーク技術を独学で学ぶことは非常に危険」と言う事です。生半可な知識でネットワークの設定を行うと、ミスした場合、最悪全社の業務が止まってしまう危険性があるからです。
ネットワーク技術取得の道は険しいですが、現役のネットワークエンジニアが講師を務める ネットビジョンアカデミー(NVA) は一考に値するでしょう。
20代のネットワークエンジニアの気になる平均年収は380万円-450万円ほどです。20代はこれからさらにスキルを積んでいける年代であり、決して低い年収ではないといえます。
30代での転職
30代になってくると、自発的な行動や判断力が問われる部分が増えてきます。前職での経験を活かしつつ、臨機応変に問題解決ができることをアピールしましょう。
20代の様に無料で通えるスクールは存在しませんが、転職のサポートまで行ってくれるITスクールは存在します。ネットワークエンジニアへ転職するなら、ITスクール経由がおすすめです。
20代、30代をターゲットとしているITスクールは、概ね企業と提携していることが多く、転職時に必要な煩わしい書類の手続き等はITスクール側で代行してもらえます。また、待遇の悪いエージェントに当たると言った心配がないのが最大のメリットと言えます。
未経験からエンジニアとして最低限の仕事が出来るようになるまでには、最低1000時間の学習が必要と言われています。20代で学ぶべきはずだったIT技術を、30代で取り戻すのは生易しいものではありません。
「[st_af id="8110"]」は、学習効率を極めることで、必要な時間を600時間まで凝縮されたカリキュラムの作成に成功しています。
「テックキャンプ エンジニア転職」では、フロント/サーバーサイド/インフラ全てを一通り学べるため、卒業するころには転職に必要な知識は備わっています。
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その後の努力にもよりますが、狙える職種はネットワークエンジニア以外に「フロントエンド」「バックエンド」と広がります。
「フロントエンド」「バックエンド」 の詳細については、下記のリンクページを参照してください。
30代に入ると、年収は平均で450万円-550万円ほどになります。居住地や生活規模にもよりますが、年収が550万円であれば生活するうえでは十分な収入と考えていいでしょう。
40代以上での転職
40代になると求められるのは責任感とリーダーシップです。もちろん、スキルによっては始めから役職者として迎えられることも少なくはありません。
しかし、どの年齢にも共通して必要なのは強い責任感とコミュニケーション能力です。クライアントの意向や要望を正しく解釈し、それを適切に構築していく能力が問われます。
ネットワークエンジニアは黙々とこなせる仕事ではありますが、確かな仕事を行うには人と接することが苦手ではいけません。常にクライアントの話をきちんと聞き、必要に応じてアドバイスや提案ができることも必要です。もちろん、健康管理も重要な能力の一つといえます。
クライアントを掴めれば長期にわたって仕事を請けることができ、安定しやすい仕事といえるでしょう。ネットワーク技術等を含む「バックエンド」の技術習得には、40歳以上を受け入れてくれる専門スクール(通学型・オンライン型含めて)は、現在のところ存在しません。
ですが、諦める必要はありません。
急速に発達した仮想化技術により「仮想サーバー」「仮想ネットワーク」がシステムの主流技術にとって代わろうとしている現在、 大規模システムで扱っているものと同様の中核技術を、個人レベルで実際に構築して運用できる時代が来ています。
データの流量による課金制の為、技術習得目的に使う程度の使用頻度であれば、個人でも十分に支払える金額です。「AWS」「AZURE」など、実際大手企業が使用している環境を個人で借りて、実際に「仮想ネットワーク」「仮想サーバ」を構築してみるのも手です。
個人利用なら「ConoHa」や「さくら」などでもクラウド環境を提供しています。また、仮想サーバに多少の知識があるのなら「VmWare Player」を使用して、自分のパソコンへ仮想環境を構築することでも可能です。
ただし、実際にネットワーク技術で覚えるべき中核技術は「Cisco Catalyst L2,L3スイッチ」の「アクセスリスト」です。Cisco以外にもスイッチ機器のメーカは沢山ありますが、事実上CiscoのCatalystスイッチが業界標準と考えて間違えありません。
残念ながら、これは実機を購入して独学で学ぶ以外に今のところ手段がありません。多少金額は張りますが、サーバー機器の中古専門店などで購入して覚えるのが一番速いと思います。
10万円~30万円は身銭を切る必要がありますが、自己投資と割り切って購入することをお勧めします。私自身も当時「Cisco Catalyst 3650 2960」を、約50万ほどで購入してネットワークのコンフィグ設定を覚えました。
下記の本には本当にお世話になりました。ボロボロになるまで読み込んだおかげで今の私があります。
40代の平均年収は650万円-750万円前後です。最も40代以上では「コンサル」や「システムエンジニア」へキャリアアップしている方が多い為、実際の年収としてはもう少し高くなるでしょう。もちろん、実際の年収は勤務先やスキルによって異なりますが、家族を養うことも可能な収入といえます。
ネットワークエンジニアに求められる知識や資格・スキル
ネットワークエンジニアとして働くうえで必要な知識や経験が求められる部分はありますが、資格を持たなくても可能な仕事の一つです。
しかし、実際に転職を考える場合には、どの程度のスキルがあるのか証明する必要性が出てくるでしょう。そこで、できれば持っていた方が良いといわれている資格をご紹介します。
ネットワークスペシャリスト試験
国家試験の一つで、ネットワークサービスやネットワーク技術における高い専門性を持つことを証明できます。ネットワークスペシャリスト試験に合格するには、ネットワークに関する基礎的な知識や技術はもちろん、セキュリティに至るまで網羅していることが条件です。目的に応じた適切なネットワークシステムの構築と運用ができ、さらに新技術の知識と実践能力が問われます。難易度が高い資格ですが、取得できれば転職に有利な資格といえます。
ITパスポート
情報処理推進機構が認定している国家資格の一つです。ITパスポートの対象となっているのはエンジニア職だけではありません。マーケティングや財務、経営戦略といった幅広い分野でのIT活用に向けた知識を網羅しており、業種に関係なく通用する資格といえます。そのため、エンジニアとしての専門性にはやや弱い印象ですが、持っていると役立つ資格の一つです。
基本情報技術者試験
国家資格であり、IT業界で働くうえで必須ともいわれている資格の一つです。基本情報技術者試験に合格できていれば、IT業界で働くために必要な技能な基礎的な知識、そして実践に活用するうえで求められる能力を保持していることが証明できます。基本情報技術者試験より上の応用情報技術者試験に合格できていれば、さらに高い能力を持っているという証明になります。
求められる知識
ネットワークの世界では、「プロトコル」とか「レイヤ」という言葉がよく出てきますが、正直なところ実に分かり難いですよね。
解説書を読み始めたけれど、この辺で挫折したという人も多いのではないでしょうか。とにかくこの 「プロトコル」とか「レイヤ」 を理解しないと始まらないと覚えておいてください。 詳しく知りたい方は「OSI7階層モデル」とググってみてください。とても説明しきれないためここでは割愛します。
上記で 説明した プロトコルに則り、レイヤ間を流れる「パケット」通信のパフォーマンスを保証するのがネットワークエンジニアの仕事になります。ちなみに「パフォーマンス」を測る3大要素は 「レスポンスタイム(応答時間」「スループット」「リソースの使用率」 になります。上記の3大要素を計測するためには下記の知識が必要になります。
- TCP/IP全般(ICMP、TCP/UDP、SNMP等)
- レイヤ2技術(スイッチング、VLAN、スパニングツリー、HSRPやVRRP等)
- レイヤ3技術(ルーティングプロトコル、L3スイッチのVLAN間ルーティング等)
- 負荷分散、冗長化、NTPやsyslogなど
そのほかにも「ネットワーク」「サブネットJ「 セグメント」「ウェルノンポート」「物理ポート」「ポート番号」「MACアドレス」「IPアドレス」「ブロードキャスト」・・etc・・etc
といった用語も理解している必要があります。
特に20代、30代の方へ伝えたいのは「ネットワーク技術は独学で覚えるには限界がある」と言う事です。出来る限り現役のネットワークエンジニア、もしくは専門の講師から教えてもらうことをお勧めします。「こんなはずじゃなかった・・」とならないように、なるべく障害時に講師がとった解決策などを中心に学ぶようにしましょう。
まとめ
ネットワークエンジニアに就くには特に必要な資格があるわけではありません。しかし、持っていると転職に有利な資格はいくつかあります。ネットワークエンジニアとしての技能や知識を証明するうえでも、資格を取得しておくことは大切です。
ネットワークエンジニアは年収も悪くはなく、企業に転職するにしてもフリーランスとして独立する場合でも安定しやすい仕事と考えていいでしょう。