フリーランス の 手帳術

【フリーランスの手帳術】忘れを防ぐ「トリガーリスト」の使い方

「やることは山ほどあるのに、なぜか大事なことを思い出せない…」そんな経験はありませんか?
トリガーリストは、思考の漏れやタスクの見落としを防ぐ「質問のカタマリ」。
フリーランスの仕事と生活を整えるための“思考の起爆剤”として、TODOやチェックリストとは違う役割を担います。

トリガーリストとは「問いを引き出す仕組み」

タスク管理において「やるべきことが思い出せない」という状況は意外と多く、特にフリーランスのようにすべてを自分で回す働き方では致命的です。

トリガーリストとは、“問いを引き出す仕組み”として、自分の中に眠っている未完了事項や、意識から抜け落ちている重要なタスクを“引き出す”ための装置です。

TODOリストが「見えているやることの管理」だとすれば、トリガーリストは「見えていないやることを可視化するための質問集」。 この違いを理解することで、タスク漏れを防ぎ、真に重要な行動に焦点を当てることができます。

TODOとの違いを正しく理解する

多くの人がトリガーリストとTODOリストを混同しがちですが、この2つは目的も性質も全く異なるツールです。

TODOリストは「やること」がすでに見えている状態で、それを忘れずに実行するための管理手段です。 一方でトリガーリストは、「やることそのものがまだ意識にのぼっていない段階」で、それを思い出す・引き出すために使います。 つまり、TODOが“表層”の管理であるなら、トリガーリストは潜在タスクを掘り起こすための掘削ツールなのです。

この違いを理解することが、漏れなく・重要なことに集中できるスケジュール管理の鍵になります。

思考の棚卸しを助ける「問いの装置」

人は毎日膨大な情報とタスクに囲まれて生活していますが、本当に大事なことほど「なんとなく気になるけど、言葉にできていない」状態で埋もれてしまいます。

トリガーリストは、そうした"無意識に放置されている思考”を意識上に引き上げる”問いの装置”です。 たとえば「今月やり残していることは?」「最近モヤモヤした出来事は?」という問いをきっかけに、記憶や感情が掘り起こされ、本来手をつけるべき重要なタスクに気づくことができます。

脳内に散らかったタスクや気がかりを棚卸しするツールとして、トリガーリストは非常に強力な仕組みです。

トリガーリストの種類と使い分け

トリガーリストは、ただのメモやチェックリストとは違い、使うシーンによって形が大きく変わります。

ビジネスでの「納期や顧客対応の確認」、プライベートでの「家庭のイベントや買い物の忘れ防止」、そして自己管理における「モヤモヤや感情の棚卸し」など、それぞれに適した“問い”の切り口が存在します。

こうした分類を意識せずにただ項目を並べても、行動にはつながりません。 「状況別の問い」を明確に使い分けることで、脳内検索の制度が格段に上がり、行動の漏れやムダを防げるようになります。

ポイント

  • ビジネス用:「納期の確認」「請求書出した?」「対応保留の案件は?」など、日々の実務に即した問い。
  • プライベート用:「買い足すものは?」「家庭イベントの準備は?」など、生活の確認に有効。
  • 内面用:「本当は何が不満?」「なぜイライラしたのか?」など、感情や思考の棚卸しに役立つ。

トリガーリストの作り方と育て方

トリガーリストはネットに出回っているテンプレートを貼り付ければ完成、というものではありません。 最も大事なのは「自分の仕事や生活パターンにフィットしているか」です。

初めは汎用的なテンプレートから始めても構いませんが、使っていく中で「自分にとって有効な問い」「機能しない問い」を見極めながら、修正・進化させていくことが大前提です。 この“育てる”という視点が抜け落ちると、トリガーリストは単なる装飾に終わります。

「問いの質=行動の質」です。質の高い問いを自ら設計できるようになれば、あなたの行動の質も必ず変わります。

最初はテンプレでOK、使いながら調整

トリガーリストは最初から完璧を目指す必要はありません。むしろ大事なのは「まず使ってみること」です。

ネットや書籍にある汎用テンプレートで構いません。使いながら、「この質問はよく引っかかるな」「これは不要だな」といった感覚を積み重ねていくことで、あなた自身の思考と生活に最適化された“オリジナルのリスト”へと育っていきます。

「質問の質=行動の質」に直結する

良い問いは、良い行動を生みます。「何をやっていないか?」ではなく、「何をやるべきか?」「どこに躓いているのか?」といった“本質を突く問い”が、あなたの中の無意識を刺激し、行動のきっかけとなります。

だからこそ、トリガーリストに載せる質問は「自分を動かす言葉」になっているかを常に見直すことが重要です。

トリガーリストの実践パターン例

リストの用途はさまざま。ここでは実際にどう使われるかの具体例を紹介します。

週1の棚卸し時に見ると効果的

トリガーリストは、週次レビューの際に力を発揮します。「1週間の振り返り」「次週の準備」「やり残しの洗い出し」といった棚卸しのタイミングで活用すれば、頭の中がクリアになり、抜け漏れも防げます。慣れてくると、“何か忘れてる気がする”という不安すら減っていきます。

手帳・ノートと組み合わせる方法

トリガーリストは見返せてナンボです。私のおすすめは「手帳の最後ページ」または「ノートの裏表紙」に書き込んでおくスタイル。いつでも視界に入る場所に配置することで、“思考のスイッチ”として機能します。デジタル派なら、Google KeepやNotionなどに固定ページとして保存するのもアリです。

トリガーリストで“見落とさない自分”を作る

人間の記憶はあてになりません。「やるべきこと」を頭の中だけで管理していると、どうしても抜けや漏れが発生します。そこで活躍するのがトリガーリストです。「問い」の力を使うことで、無意識に埋もれていたタスクや感情、忘れていた準備事項を引き出すことができ、抜けのない行動が実現します。

これは単なる“メモ”ではなく、自分自身への問いかけを通じて「忘れない」「迷わない」「後悔しない」ための環境を整えるためのツールです。フリーランスのように自律的に動く必要がある働き方こそ、こうした“再確認の仕組み”を持つことで、真の安定が手に入ります。

実際に使えるトリガーリスト例

  • 請求書で処理漏れしている案件はないか?
  • 対応待ちになっている顧客連絡は?
  • 保留にしている案件の再確認は?
  • 忘れている家庭イベントはないか?
  • 「本当はやりたい」と思っていることは?

トリガーリスト例(Bepro式)

寝起きや何かに全力集中した後の虚脱状態時など、まったく無の状態からするべきことを思い出すのはアイデアを捻り出すことと同じくらい大変です。

そこであらかじめ自分に対してポジション毎の質問リストを準備しておけば、答えるだけで「するべきこと」等すぐに思い出すことができるため大変便利です。

  • プライベートトリガーリスト
  • ビジネストリガーリスト
  • 内面トリガーリスト

01.ビジネストリガーリスト

p>日々の仕事の中で、思い出すべきこと・確認すべきことは山ほどあります。このリストは、見落としを防ぎ、タスクの取りこぼしを未然に防ぐための「問い集」です。週1回の棚卸し時にチェックすることで、業務の抜け漏れが激減します。

ビジネストリガーリスト

  1. 現在抱えているプロジェクトにはどんなものがありますか?
  2. 現在の仕事の目標は何ですか?
  3. 将来行うべきプロジェクトにはどのようなものがありますか?
  4. 机の上に何がありますか?
  5. 机の引き出しの中には何が入っていますか?
  6. あなたが管理している箇所にはどのようなものがありますか?
  7. 現在上司と約束(依頼)したいことは何ですか?
  8. 現在部下と約束(依頼)したいことは何ですか?
  9. 現在同僚と約束(依頼)したいことは何ですか?
  10. 現在取引先と約束(依頼)したいことは何ですか?
  11. 仕事の環境で変えたいことはありますか?
  12. 書かなくてはいけないメールがありますか?
  13. 処理しなくてはいけない書類がありますか?
  14. かけなくてはいけない電話がありますか?
  15. 行わなくてはいけない会議はありますか?
  16. 会議に関して行わなくてはいけない作業がありますか?
  17. 給与について心配事がありますか?
  18. キャリアプランについて心配事がありますか?
  19. 仕事上の直近のイベントにはどんなものがありますか?
  20. 習得したいスキルがありますか?
  21. 調査しなくてはいけないことがありますか?

02.プライベートトリガーリスト

家庭や個人の生活領域では、タスクの優先順位が下がりがちです。ですが、日常の充実感や安心感はここで決まります。このリストは、生活を整え、大切なことを後回しにしないためのチェックポイントをまとめています。

プライベートトリガーリスト

  1. 日用品のストック管理は出来ているか?
  2. キッチン、洗面所、脱衣所、浴室、リビング、トイレ、玄関で買い足したいものはないか?
  3. 寝具・リネンは適切に管理できているか?
  4. 先々に必要な申し込みや手続き、提出、投函物、振り込みなどは無いか?
  5. 特定の店(家電量販店、ホームセンター等)で買うものはないか?
  6. 家の中で一番汚れているところは何処か?
  7. 資源ごみ(古新聞、古雑誌、ペットボトル等)の処分は出来ているか?
  8. 粗大ごみに出したいものはないか?
  9. カーテンやファブリックなどの選択はないか?
  10. クリーニングに出しそびれているモノはないか?

03.内面トリガーリスト

「なんだかモヤモヤする」「やる気が出ない」——そんなときにこそ役立つのが、内面に問いを向けるトリガーリストです。感情や思考の棚卸しを通じて、本当にやりたいことや、自分が抱えている違和感を明確にしていきます。

内面トリガーリスト

  1. 何かしなくてはいけないことがありますか?
  2. あなたの将来の目標は何ですか?
  3. あなたの現在の心配事は何ですか?
  4. あなたは今誰かと何か約束していますか?
  5. あなたは誰かと何かの約束をする必要がありますか?
  6. 今、あなたが欲しいものは何ですか?
  7. プライベートの直近のイベントにはどんなものがありますか?
  8. 次の休みはどのように過ごしたいですか?
  9. 行ってみたい国はありますか?
  10. 会いたい人がいますか?
  11. 習得したいスキルはありますか?
  12. 習得したい言語はありますか?
  13. 健康に関して心配事がありますか?
  14. 家族に関して心配事がありますか?
  15. 友人、近所の方などに関して心配事がありますか?
  16. 見たいテレビ、映画がありますか?
  17. 修理しなくてはいけないものがありますか?
  18. お金はきちんと管理されていますか?

まとめ:問いが“行動”を引き出す鍵になる

トリガーリストは、単なるチェック項目ではなく「思考を掘り起こす装置」です。TODOやスケジュールでは扱いきれない“潜在的なやるべきこと”を可視化するための強力なツールとして、手帳術に組み込む価値があります。特にフリーランスのように自己管理が求められる働き方では、漏れのない準備、思考の棚卸し、内省の時間を確保するためのリストとして機能します。

テンプレから始めて、使いながらカスタマイズしていくことで、あなた専用の「問いの資産」が育ちます。問いの質が上がれば、思考の精度も行動の成果も変わります。忘れず、迷わず、抜け落とさない——そんな強い味方として、ぜひトリガーリストを活用してください。

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