JavaでWebアプリ開発を始めるには、まずEclipseで動的Web環境を構築する必要があります。本記事では、EclipseのインストールからTomcatの設定、Servlet/JSPの動作確認までを初心者向けにわかりやすく解説します。
また、Javaのプロジェクト管理ツールであるMavenにも触れ、Mavenを使う場合と使わない場合の環境構築の違いについても解説します。手動でライブラリを管理する方法と、Mavenを活用して依存関係を自動管理する方法を理解し、自分に合った開発環境を選びましょう。
「Mavenを使わなくても、JavaのWeb開発はできます!」
「この記事では、Mavenを使う場合と使わない場合の両方を紹介しますが、最初はMavenなしでも問題ありません!」
必要な環境のセットアップ
これらのツールをインストールし、EclipseでTomcatをセットアップすることで、Todoアプリの開発環境を整えることができます。
Eclipseのインストール方法(JDK含む)
JDKおよびEclipseのインストールについては、下記の記事を参照してください。
Apache Tomcatのインストール方法(Eclipse用)
Tomcatは、JavaのServlet/JSPを実行するためのWebサーバーです。 ここでは、Windows & macOS 向けに、EclipseにTomcatを導入する方法を解説します。
Tomcatのバージョンごとの違い
今回は最新(2025年2月27日現在)の推奨版「Tomcat 10.1.x」を使用します。
バージョン | 対応Javaバージョン | 特徴・用途 | 推奨度 |
---|---|---|---|
Tomcat 8.5 | Java 7 / 8 | 旧世代の安定版。レガシー環境向け | ❌(古い) |
Tomcat 9 | Java 8 / 11 / 17 | Java EE 8(Jakarta EE 8)準拠。現在も広く使われている | ✅ (推奨) |
Tomcat 10.0 | Java 8 / 11 | Jakarta EE 9 に対応(ただし仕様変更が大きい) | ❌(移行向け) |
Tomcat 10.1 | Java 11 / 17 / 21 | Jakarta EE 10 準拠で最新の仕様 | ✅ (最新の推奨版) |
Eclipse に Tomcat を設定する手順【2025年3月最新版】
本記事では、Eclipse に Tomcat を正しく設定し、確実に動作させる方法を解説します。従来の手順ではうまく動作しないケースがあったため、最適化した手順を紹介します。
Tomcat のダウンロードとインストール
まず、Apache Tomcat の公式サイトから最新版をダウンロードし、適切なディレクトリに解凍します。
- 公式サイト: Apache Tomcat 10 ダウンロード
- 推奨バージョン: Tomcat 10.1
- 解凍場所: /Users/ユーザー名/Work/Java/apache-tomcat-10.1.xx/ など

Eclipse に Tomcat を追加
Eclipse に Tomcat を登録する手順は以下の通りです。
🔹 まず「サーバービュー」を表示
「サーバー」ビューが表示されていない場合は、以下の手順で表示してください。
- メニューの「ウィンドウ」→「ビューの表示」→「サーバー」 を選択
- 「サーバービュー」が表示されたことを確認

🔹 Tomcat の登録手順
- 「サーバー」ビューで右クリック → 「新規」→ 「サーバー」 を選択
- 「Apache」→「Tomcat v10.1 サーバー」 を選択し、下記を指定
サーバー名: 「Tomcat10(Java17)」または「Tomcat10(Java21)」
サーバー・ランタイム環境:「Tomcat10(Java21)」 を選択 - 「ランタイム環境の構成」リンクをクリック
- 「サーバー・ランタイム環境」画面で「JRE は Java 17 or 21 」を選択し、「編集」ボタンをクリック
「サーバ・ランタイム環境の編集」画面で下記を入力する。
名前:「Tomcat10(Java21)」
Tomcatインストール・ディレクトリ:「Tomcat格納ディレクトリを指定」
JRE:「Java21」 - 「完了」ボタンをクリック
サーバービューの中にTomcat10_Java21(2025年3月時点で最新)があることを確認します。
動的 Web プロジェクトの作成
ブラウザへ動的なアプリケーションを作成する想定のため、動的プロジェクトを作成します。
Tomcat サーバ用プロジェクトの作成
- Eclipseのメニューバーの「ファイル」から「新規」を選択し「その他」とクリック
- 「web」を開いて「動的Webプロジェクト」を選択し、「次へ」をクリック
- 「プロジェクト名」と「ターゲット・ランタイム」を入力して「次へ」をクリック
プロジェクト名:「JavaStudy(任意の名前)」
ターゲット・ランタイム:「Tomcat10(java21)」 - 特に何も設定はせずに、そのまま「次へ」をクリック
- 「web.xmlデプロイメント記述子の生成」のチェックが入ってることを確認し、「完了」をクリック
- プロジェクトが作成されていることを確認
ライブラリの追加
- 作成されたプロジェクトを右クリックし、「プロパティー」を選択
- 左側のエリアで「Javaのビルド・パス」を選択し、「ライブラリー」タブを選択
「モジュールパス」を選択したまま「外部JARの追加」ボタンをクリック - ファイル選択画面で、下記フォルダーの中から必要なAPIを選択し、「開く」をクリック
ライブラリ:「<<i nstall_dir >>/apache-tomcat-10.1.36/lib」※ Tomcatをインストールしたディレクトリ配下
・JARファイルを任意で選択(今回は「servlet-api.jar」「jsp-api.jar」を選択しています) - 選択したファイルが追加されていることを確認し、「適用して閉じる」をクリック
用途 | ライブラリ名 | 必要度 |
---|---|---|
Servlet API | javax.servlet-api.jar(Tomcat10は jakarta.servlet-api.jar) | ⭐⭐⭐⭐⭐(必須) |
JSP API | javax.servlet.jsp-api.jar(Tomcat10は jakarta.servlet.jsp-api.jar) | ⭐⭐⭐⭐(JSPを使うなら必須) |
JSTL | jakarta.servlet.jsp.jstl-api.jar | ⭐⭐⭐(JSPを便利にするなら) |
JDBCドライバ | mysql-connector-java.jar(MySQL用) | ⭐⭐⭐(DBを使うなら) |
JSONライブラリ | jackson-databind.jar | ⭐⭐(APIでJSONを使うなら) |
Eclipse で Tomcat を起動
ここまでの設定が完了したら、起動テスト用のサンプルJSPファイルを作成してTomcatの起動確認を行います。
- 作成した「JavaStudy」プロジェクトを右クリックし、「新規」=> 「JSPファイル」をクリック
- 「JSP作成」画面で「JavaStudy/src/main/webapp/」が選択されている状態で、JSPファイル名を入力
ファイル名:「hello.jsp」 - 「JSPテンプレートの選択」画面で「新規JSP(html 5)が選択されている状態で「完了」をクリック
- 「プロジェクト」画面で「JavaStudy/src/main/webapp/」配下に「hello.jsp」が作成されていることを確認
- Tomcatの起動確認用に「hello.jsp」ないのコードを編集
編集するコードは「JSP編集コード」参照 - 「プロジェクト」画面で対象JSPファイルを選択し、右クリック後、「実行」=> 「1.サーバーで実行」を選択
- 初回起動時には下記の警告が出力されることがあります。
チェックを入れて「保存」をクリック(任意) - 「サーバーの実行」画面が表示されたら「サーバ」リストないの「Tomcat_Java21」を選択し、「次へ」をクリック
- 「追加および除去」画面で「構成済み」リストに「JavaStudy」が表示されていることを確認して「完了」ボタンをクリック
- Tomcatが起動され「ログ出力」画面へログが出力されていることを確認
- ブラウザで 「 http://localhost:8080/」 にアクセスし、Tomcat の管理画面が表示されることを確認
ブラウザに「Hello、JSP!」と表示されれば、Tomcatは正常に稼働しています。
JSP編集コード
新規作成された「hello.jsp」ファイルのコードを下記コードへ書き換えてください。
[hello.jsp]
<%@ page contentType="text/html; charset=UTF-8" language="java" %>
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>Hello JSP</title>
</head>
<body>
<h1>Hello, JSP!</h1>
<p>現在の時刻:<%= new java.util.Date() %></p>
</body>
</html>
EclipseでTomcatの停止
Tomcatを停止する場合は、「サーバ」画面から対象のTomcatを選択し「◾︎」ボタンをクリックor右クリックで「停止」を選択

よくあるエラーと対策
EclipseでTomcatを設定して動的Webプロジェクトを作成する際、環境によってさまざまなエラーが発生することがあります。本章では、EclipseとTomcatの組み合わせでよく遭遇するエラーとその対策について解説します。
エラー内容 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
「ポート 8080 は既に使用中です」 | 他のプロセスが 8080 ポートを使用している | ターミナルで lsof -i :8080 を実行し、競合プロセスを終了 |
「ワークスペースのメタデータを使用」のままになっている | Tomcat のロケーション設定が間違っている | 「サーバーのロケーション」タブで「Tomcat のインストールを使用」に変更 |
「HTTP ステータス 404 - 見つかりません」 | デプロイが正しく行われていない | 「デプロイ・パス」を webapps に設定し直す |
Mavenとは?初心者向けにわかりやすく解説!
Maven(メイヴン)とは、Javaのプロジェクト管理とビルドを自動化するツール です。通常、Javaのプロジェクトを作るときは以下のような作業が必要になります。
- ✅ ライブラリ(JARファイル)の追加・管理
- ✅ コンパイル・ビルド(プログラムを実行可能な形にする)
- ✅ テストの実行
- ✅ WebアプリをWARファイルにまとめる
- ✅ Tomcatなどのサーバーにデプロイする
Mavenを使うと、これらの作業を自動化 できます!
Mavenを使うと何が便利なの?
✅ 1. ライブラリの管理が自動化される
通常、プロジェクトで使うライブラリ( servlet-api.jar など)は、自分でダウンロードして lib/ に配置しないといけません。
Mavenを使えば、必要なライブラリを pom.xml という設定ファイルに書くだけ で、自動的にインターネットから取得してくれます!
<dependency>
<groupId>jakarta.servlet</groupId>
<artifactId>jakarta.servlet-api</artifactId>
<version>5.0.0</version>
<scope>provided</scope>
</dependency>
✅ 2. プロジェクトの構成が統一される
Mavenを使うと、プロジェクトのディレクトリ構成が 統一 されます。
ディレクトリ | 役割 |
---|---|
src/main/java/ | Javaのソースコード |
src/main/webapp/ | WebアプリのJSPやHTML |
src/test/java/ | テスト用コード |
target/ | コンパイル後の成果物(WAR/JAR) |
✅ 3. ビルドやデプロイが簡単になる
Mavenには 「ビルド」や「Tomcatにデプロイ」する機能 もあります。
通常は、手動でコンパイルして WAR ファイルを作って Tomcat に配置しますが、Mavenなら 1コマンドで完了!
mvn package # WARファイルを作成
mvn tomcat:deploy # Tomcatにデプロイ
Mavenは初心者にも必要?
Mavenを使うと 「環境構築やライブラリ管理が楽になる」 というメリットがありますが、
最初は「Mavenなし」でも十分に開発できます!
📌 Mavenを使うべきか?
項目 | Mavenなし | Mavenあり |
---|---|---|
セットアップの手間 | 手動でライブラリを追加 | Mavenで自動管理 |
ディレクトリ構成 | 自由度が高い | 標準化された構成 |
依存関係の管理 | 手動(手間がかかる) | 自動(簡単) |
初心者には「Mavenなし」が分かりやすいですが、将来的にフレームワークを活用するなら「Mavenあり」の方が便利です。
- ✅ Mavenは Javaのプロジェクト管理&ビルドを自動化するツール
- ✅ ライブラリ管理、ビルド、デプロイが簡単になる
- ✅ 初心者はまず「Mavenなし」で開発し、必要になったらMavenを学ぶのがオススメ!
開発環境の構築(Mavenあり/なし)
JavaのWebアプリ開発では、EclipseとTomcatの組み合わせが一般的ですが、プロジェクトの管理方法には「Mavenを使用する場合」と「Mavenを使わない場合」の2通りがあります。本章では、それぞれの開発環境の違いやセットアップ方法を解説し、どちらを選ぶべきかの判断基準も紹介します。あなたの開発スタイルに合った環境を構築し、スムーズにプロジェクトを進めましょう。
Eclipse + Tomcatのセットアップ(Mavenなしの場合)
ここでは、Mavenを使わずにEclipseとTomcatを組み合わせた開発環境を構築する方法を解説します。Mavenなしの場合、手動でライブラリを管理し、プロジェクトの構成がシンプルになるのが特徴です。
Eclipse + Tomcat のセットアップ(Mavenあり)
本記事では、Mavenを使用して Eclipse + Tomcat の環境をセットアップする方法を解説します。Mavenを利用することで、依存関係の管理が容易になり、プロジェクトの構成がシンプルになります。
1. 必要な環境
以下の環境を準備してください。
項目 | バージョン |
---|---|
JDK | Java 17 または Java 21 |
Eclipse | 最新の Eclipse IDE for Enterprise Java Developers |
Apache Tomcat | Tomcat 10 |
Maven | Apache Maven 3.8 以上 |
2. Mavenのインストール
公式サイトからMavenをダウンロードし、環境変数に追加します。
wget https://downloads.apache.org/maven/maven-3/3.8.6/binaries/apache-maven-3.8.6-bin.tar.gz
tar -xvzf apache-maven-3.8.6-bin.tar.gz
export PATH=/path/to/apache-maven-3.8.6/bin:$PATH
3. EclipseでMavenプロジェクトを作成
Eclipseで以下の手順を実施してください。
1. 新規Mavenプロジェクトの作成
- [File] → [New] → [Maven Project] を選択
- 「Create a simple project」にチェックを入れて [Next]
- Group ID と Artifact ID を設定(例: com.example)
- [Finish] をクリック
2. pom.xml の設定
プロジェクト直下の pom.xml を開き、以下のように設定します。
<dependencies>
<dependency>
<groupId>org.apache.tomcat.embed</groupId>
<artifactId>tomcat-embed-core</artifactId>
<version>10.1.0</version>
</dependency>
</dependencies>
3. Tomcatの設定
- Eclipseの [Window] → [Preferences] を開く
- [Server] → [Runtime Environments] を選択
- [Add] → [Apache Tomcat] を選択し、Tomcatのインストールディレクトリを指定
- [Finish] をクリック
4. サーバーの起動と確認
サーバーを起動し、動作を確認します。
1. Tomcatの起動
Eclipseの [Servers] タブから、Tomcat を右クリックし [Start] を選択
2. 確認
ブラウザで http://localhost:8080 にアクセスし、Tomcatの管理画面が表示されることを確認
5. よくあるエラーと対策
エラー | 対策 |
---|---|
Tomcat が起動しない | ポート 8080 が使用中の可能性。 server.xml を編集してポートを変更 |
Maven の依存関係が解決しない | Eclipse の [Project] → [Update Maven Project] を実行 |
これで、Eclipse + Tomcat(Mavenあり)の環境が構築できました。
ディレクトリ構成(プロジェクトの基本構造)
プロジェクトのディレクトリ構成は、Mavenを使用するかどうかによって異なります。まず、どのような違いがあるのかを理解しましょう。
構成 | Mavenなし | Mavenあり |
---|---|---|
ソースコード | src/ | src/main/java/ |
Webアプリのルート | WebContent/ | src/main/webapp/ |
設定ファイル | 手動で配置 | pom.xml で管理 |
📌 Eclipse 2024-12 では、Maven なしでも 「src/main/webapp/ 」がデフォルトに!
Eclipse 2024-12 では、Dynamic Web Module のバージョンが 6.0 以上 になると、Maven なしでも 「WebContent/」 ではなく 「src/main/webapp/ 」がデフォルト になります。
バージョン確認方法
- プロジェクトを右クリック → [プロパティ] → [Project Facets] を開く
- Dynamic Web Module のバージョンが 6.0 以上なら src/main/webapp/ がデフォルト
- WebContent/ に戻したい場合は [Deployment Assembly] から手動変更可能!
Mavenを使ったプロジェクト管理(Mavenありの場合)
Mavenを使うと、依存関係の管理が自動化され、ディレクトリ構成が統一されます。Tomcatなどのサーバー設定も、Mavenプラグインを利用して自動化できます。
Mavenなし vs ありの違い(どちらを選ぶべきか?)
初心者にとって、どちらの開発環境が適しているのかを比較します。
項目 | Mavenなし | Mavenあり |
---|---|---|
セットアップの手間 | 手動でライブラリを追加 | Mavenで自動管理 |
ディレクトリ構成 | 自由度が高い | 標準化された構成 |
依存関係の管理 | 手動(手間がかかる) | 自動(簡単) |
初心者のうちは「Mavenなし」が分かりやすいですが、将来的にフレームワークを活用するなら「Mavenあり」の方が便利です。実際のプロジェクトでは「Maven」の知識は必須になります。
まとめ
Eclipse + Tomcat の開発環境を Maven を使って構築することで、依存関係の管理やプロジェクト構成の管理が簡単になり、スムーズに開発を進めることができます。 本記事では、Eclipse に Tomcat を設定し、Maven プロジェクトを作成する手順を解説しました。
本記事のポイント
- 必要な環境を準備(JDK、Eclipse、Tomcat、Maven)
- Maven をインストールし、環境変数を設定
- Eclipse で新規 Maven プロジェクトを作成
- pom.xml に Tomcat の依存関係を追加
- Eclipse に Tomcat を設定し、プロジェクトをデプロイ
- Tomcat を起動し、ブラウザで動作確認
- よくあるエラーと対策を紹介
Maven を活用すると、今後 Spring Boot に移行する際にもスムーズに開発を進めることができます。 もしエラーが発生した場合は、Maven のビルドや Tomcat の設定を見直してみてください。