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【IT入門】設計手法とは?システム開発における役割と基本を知ろう

IT入門シリーズ

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システム開発において、「設計手法」は非常に重要な役割を果たします。 適切な設計を行うことで、開発の効率化や品質向上を実現し、システムの保守性や拡張性を高めることができます。

しかし、IT初心者の方にとっては、「そもそも設計とは何か?」「どのような手法があるのか?」といった疑問を持つことも多いでしょう。

本記事では、システム開発における設計手法の基本をわかりやすく解説し、その役割や種類について詳しく紹介します。 これからIT業界を目指す方や、開発プロジェクトに関わるエンジニアの方にとって、設計の重要性を理解する助けとなる内容です。

ぜひ最後までご覧いただき、システム開発の基礎知識を身につけていきましょう!

設計手法とは?システム開発でなぜ重要なのか

システムやアプリを開発する際、いきなりプログラムを書き始めるわけではありません。まず「どのように作るか?」を考え、設計を行います。

この設計を行うために使われるのが「設計手法」です。設計手法を学ぶことで、開発の流れを整理し、効率的にプログラムを作ることができます。

たとえば、家を建てるときに「設計図」を作らずにいきなり工事を始めたらどうなるでしょうか?きっと、使い勝手が悪く、後から修正が難しい家になってしまうでしょう。

ソフトウェア開発でも同じで、「どんな機能を作るのか」「どのようにデータを処理するのか」を整理し、効率的に作るために設計手法が使われます。

設計手法はいつ学ぶべき?

設計手法は、最初に学ぶべき内容ではありません。まずはプログラミングの基本を学び、「実際に小さなアプリやシステムを作る」段階になってから必要になります。

初心者の学習ステップ

  1. パソコンの基本を学ぶ(ファイル操作、ショートカット)
  2. プログラミングの基礎を学ぶ(変数、関数、条件分岐など)
  3. 簡単なアプリを作る(Todoアプリ、電卓など)
  4. データの扱いを学ぶ(データベース、APIの利用)
  5. システム全体の設計を学ぶ(UML、MVCなど)

まずは「プログラミングで動くものを作る」ことが大切で、設計はその後のステップです。

設計手法の種類

設計手法にはいくつかの種類があります。初心者向けにわかりやすく分類すると、以下のようになります。

🔹 1. モデリング手法(システムの動きを図にする)

モデリングとは、「システムを図として可視化する」ことです。これにより、開発チーム全員が共通の認識を持つことができます。

モデリング主要

  • UML(統一モデリング言語): システム全体の構造や動きを視覚的に表す。
  • DFD(データフロー図): データがどのように流れるかを示す。
  • ER図(エンティティ・リレーションシップ図): データベースの設計に使う。

UML(統一モデリング言語)

UML(Unified Modeling Language)は、システム全体の構造や動作を視覚的に表現するための標準化されたモデリング言語です。 ソフトウェア開発の様々なフェーズで活用され、設計の可視化や仕様の共有に役立ちます。

UMLには複数のダイアグラム(図)が存在し、それぞれ異なる目的で使用されます。

  • クラス図(Class Diagram)
    システム内のクラスやオブジェクトの関係を定義し、オブジェクト指向設計の基盤となる。
  • ユースケース図(Use Case Diagram)
    システムの利用者とその機能の関係を表し、要件定義に活用。
  • シーケンス図(Sequence Diagram)
    オブジェクト間のメッセージのやり取りを時系列で示し、プログラムの動作フローを整理。
  • アクティビティ図(Activity Diagram)
    プロセスの流れを視覚的に表し、業務フローや処理手順を整理するのに適している。

UMLを活用することで、開発チーム間での設計の共通認識を持ちやすくなり、システムの仕様を明確化できるというメリットがあります。

DFD(データフロー図)

DFD(Data Flow Diagram)は、システム内のデータの流れを視覚的に表現するための図です。 データの入力から処理、出力に至るまでの流れを明確にし、システム全体の情報の流れを整理する際に使用されます。

DFDでは、以下の要素が使用されます。

  • プロセス(Process)
    データを処理する機能や業務フローを表す。
  • データストア(Data Store)
    システム内で保存されるデータの場所(データベースやファイルなど)を示す。
  • 外部エンティティ(External Entity)
    システム外部とやり取りするユーザーや他のシステムを表す。
  • データフロー(Data Flow)
    データがシステム内をどのように流れるかを矢印で表現。

DFDは特に、業務フローの整理やシステムの要件定義の段階で活用され、データの流れを可視化することで、設計の抜け漏れを防ぐ効果があります。

ER図(エンティティ・リレーションシップ図)

ER図(Entity-Relationship Diagram)は、データベースの設計を行う際に、データの構造や関係を可視化するための図です。 主に、システム内のデータの関連性を整理し、データベース設計の基盤を作るために使用されます。

ER図には、以下の主要な要素があります。

  • エンティティ(Entity)
    データとして管理する主要なオブジェクト(例:顧客、注文、商品など)。
  • アトリビュート(Attribute)
    各エンティティが持つデータの属性(例:「顧客」エンティティの「名前」「住所」「電話番号」など)。
  • リレーションシップ(Relationship)
    エンティティ同士の関係を示す(例:「顧客」は「注文」を作成できる)。

ER図を活用することで、データの正規化を行い、冗長性のない効率的なデータベース設計が可能になります。 特に、RDBMS(リレーショナルデータベース)を利用するシステムでは、ER図を用いた設計が不可欠です。

🔹 2. ソフトウェア設計手法(プログラムを組み立てる考え方)

ソフトウェア設計とは、「どのようにプログラムを構築するか」を考える手法です。

ソフトウエア設計手法

  • オブジェクト指向設計(OOD): データと処理をセットで管理する設計手法。
  • ドメイン駆動設計(DDD): ビジネスのルールを軸にした設計。

オブジェクト指向設計(OOD)とは?

オブジェクト指向設計(Object-Oriented Design / OOD)は、 データ(オブジェクト)と、そのオブジェクトを操作する処理をセットで管理する設計手法です。

この考え方は、「オブジェクト指向プログラミング(OOP)」を実装するための設計プロセスであり、 システムの拡張性や保守性を高めることが目的です。

● OODの主要な概念
  • カプセル化(Encapsulation)
    データ(属性)と処理(メソッド)を一つのオブジェクトにまとめ、外部からの不正なアクセスを防ぐ。
  • 継承(Inheritance)
    既存のクラス(親クラス)の機能を新しいクラス(子クラス)が引き継ぎ、コードの再利用性を向上させる。
  • ポリモーフィズム(Polymorphism)
    同じメソッド名でもオブジェクトの種類に応じて異なる動作をさせる。
● OODのメリット
  • コードの再利用性が向上
    継承を利用することで、共通部分のコードをまとめられる。
  • メンテナンス性が向上
    カプセル化により、システムの一部を変更しても他の部分に影響を与えにくい。
  • 可読性・保守性の向上
    オブジェクト単位で管理するため、プログラムの構造が分かりやすくなる。

オブジェクト指向設計は、特に大規模なシステム開発で役立ち、 Spring FrameworkJava などのオブジェクト指向プログラミング言語と組み合わせて利用されます。

ドメイン駆動設計(DDD)とは?

ドメイン駆動設計(Domain-Driven Design / DDD)は、 ビジネスのルールや要件(ドメイン)を中心にシステムを設計する手法です。

DDDでは、開発の中心に「ドメインモデル」を据え、 ビジネスの専門知識をコードに反映することで、システムと業務のズレをなくすことを目的としています。

● DDDの主要な概念
  • エンティティ(Entity)
    一意の識別子を持ち、システムの状態を保持するオブジェクト(例:顧客、注文など)。
  • 値オブジェクト(Value Object)
    一意の識別子を持たず、属性の集合として扱うオブジェクト(例:金額、日付、住所など)。
  • アグリゲート(Aggregate)
    関連するエンティティと値オブジェクトを一つのまとまりとして管理する単位。
  • リポジトリ(Repository)
    データベースとのやり取りを抽象化し、エンティティの取得・保存を行う。
  • サービス(Service)
    ドメインオブジェクトに属さないビジネスロジックを管理するクラス。
● DDDのメリット
  • ビジネスロジックの明確化
    コードの構造が業務ルールに沿って整理される。
  • システムの柔軟性が向上
    変更が発生しても、影響範囲を最小限に抑えられる。
  • 開発者とドメインエキスパートの共通認識が持てる
    開発チームと業務担当者が同じ言葉でシステムを設計できる。

ドメイン駆動設計は、特に大規模システムや複雑なビジネスロジックを持つシステムに適しており、 エリック・エヴァンスの「Domain-Driven Design」 という書籍がDDDの基本的な考え方を提唱しています。

🔹 3. アーキテクチャ設計手法(システムの構造を考える)

システム全体の設計を考える手法で、開発効率や保守性を高める役割があります。

アーキテクチャ設計手法

  • MVC(モデル・ビュー・コントローラ): Webアプリ開発でよく使われる設計。
  • マイクロサービスアーキテクチャ: システムを小さなサービス単位に分ける考え方。

システム開発において、適切な設計手法を選択することは、開発効率の向上や保守性の確保に直結します。 設計手法によっては、コードの再利用性を高めたり、チームでの開発をスムーズに進めたりする効果があります。

ここでは、代表的な設計手法であるMVC(モデル・ビュー・コントローラ)マイクロサービスアーキテクチャについて詳しく解説します。

MVC(モデル・ビュー・コントローラ)とは?

MVC(Model-View-Controller)は、主にWebアプリ開発で用いられる設計パターンの一つで、アプリケーションの構造を「モデル」「ビュー」「コントローラ」の3つに分離することで、開発の分業や保守性を向上させる手法です。

● MVCの3つの役割
  • モデル(Model)
    アプリケーションのデータやビジネスロジックを管理する部分。 データベースとのやり取りや計算処理を担当し、システムの中心的な役割を果たす。
  • ビュー(View)
    ユーザーに情報を表示する部分。 HTMLやCSSを用いて画面を構築し、モデルから受け取ったデータを視覚的に表現する。
  • コントローラ(Controller)
    ユーザーの操作を受け取り、適切な処理を実行する役割。 モデルとビューの橋渡しをし、リクエストに応じて適切なデータを取得し、ビューへ渡す
● MVCのメリット
  • コードの分離による保守性向上
    画面表示(View)とロジック(Model)を分離することで、変更が容易になる。
  • 開発の分業がしやすい
    フロントエンド(View)とバックエンド(Model)の担当を分けて開発できる。
  • 再利用性の向上
    共通するデータ処理(Model)を統一でき、同じデータを異なるビューで活用可能。

MVCは、Spring FrameworkLaravel など、 多くのWebフレームワークで採用されており、モダンなWeb開発の基本となる設計パターンです。

マイクロサービスアーキテクチャとは?

マイクロサービスアーキテクチャ(Microservices Architecture)は、システム全体を小さな独立したサービス(マイクロサービス)に分割して構築する設計手法です。 従来の「モノリシックアーキテクチャ(単一の大規模システム)」と異なり、各サービスが個別に開発・運用されるのが特徴です。

● マイクロサービスの特徴
  • 独立性の高いサービス
    各マイクロサービスが独立して開発・デプロイ可能。
  • スケーラビリティ(拡張性)が高い
    必要な部分だけスケールアップできるため、大規模システムに適している。
  • 開発チームの分割が容易
    各マイクロサービスが独立しているため、複数のチームで同時開発が可能。
● マイクロサービスのメリット
  • システムの柔軟性が向上
    必要なサービスのみを更新・改修できる。
  • 可用性の向上
    一部のサービスが障害を起こしても、他のサービスには影響が少ない。
  • 技術選定の自由度が高い
    各サービスごとに適した技術を採用できる(例:Java + Spring Boot, Node.js, Python など)。

マイクロサービスは、AWSのマイクロサービスアーキテクチャKubernetes などの技術と組み合わせることで、 クラウド環境に最適な分散システムを構築することが可能になります。

🔹 4. データ設計手法(データを効率よく管理する)

データをどのように保存し、管理するかを決める設計手法です。

データ設計手法

  • 正規化: データの重複をなくして管理しやすくする方法。
  • データウェアハウス設計: 分析向けのデータ管理手法。

正規化とは?

正規化(Normalization)とは、データベースの設計において、データの重複をなくし、管理しやすくする方法です。 データの一貫性を保ち、ストレージの無駄を削減し、データの整合性を向上させることを目的としています。

● 正規化の主な目的
  • データの冗長性を排除
    同じデータを複数のテーブルに持たせず、無駄な重複を防ぐ。
  • データの整合性を維持
    一貫したデータ管理を行い、矛盾が生じるリスクを減らす。
  • データの更新・削除を容易にする
    変更を一箇所で済ませられるため、管理が楽になる。
● 正規化の段階(正規形)

正規化には複数の段階(正規形)があり、基本的に「第1正規形(1NF)」から「第5正規形(5NF)」まで進めることができます。

  • 第1正規形(1NF)
    各カラムに単一の値のみを持たせる(リストや配列を含めない)。
  • 第2正規形(2NF)
    1NFを満たした上で、主キーの一部にのみ依存するデータを別テーブルに分割。
  • 第3正規形(3NF) -
    NFを満たした上で、主キーに直接関係しないデータを別テーブルに分割。
  • ボイス・コッド正規形(BCNF)
    3NFを満たし、すべての決定関係が候補キーに依存するようにする。
  • 第4正規形(4NF)
    BCNFを満たした上で、多値従属性を排除。
  • 第5正規形(5NF)
    4NFを満たした上で、結合によるデータの損失を防ぐ。

一般的には、第3正規形(3NF)やボイス・コッド正規形(BCNF)まで正規化するのが実用的とされています。

● 正規化のデメリット
  • クエリの複雑化
    データが複数のテーブルに分割されるため、結合(JOIN)が多くなり、パフォーマンスが低下する可能性がある。
  • パフォーマンスの低下
    大規模なデータ処理において、過度な正規化はレスポンス時間を長くする要因になる。

そのため、データの特性や利用用途に応じて、正規化と非正規化のバランスを取ることが重要です。

データウェアハウス設計とは?

データウェアハウス(Data Warehouse, DWH)とは、分析や意思決定を支援するために、大量のデータを統合・整理して格納するシステムです。

データウェアハウス設計では、トランザクションデータとは異なり、**過去のデータを蓄積し、時系列分析やレポート作成に最適化する**ことが目的となります。

● データウェアハウスの特徴
  • 履歴データを長期間保存
    企業の売上、顧客行動など、時間の経過とともに変化するデータを蓄積する。
  • データの統合
    異なるシステムからのデータを一元管理し、分析の精度を向上させる。
  • データの最適化
    高速なクエリ実行を可能にするため、適切なインデックスやデータモデルを採用する。
● データウェアハウスの設計手法

データウェアハウスを設計する際には、以下の2つのアプローチがよく用いられます。

  • トップダウンアプローチ(Inmonモデル)
    企業全体のデータモデルを設計し、その上にDWHを構築する方式。
  • ボトムアップアプローチ(Kimballモデル)
    小さなデータマート(特定の業務向けのデータ集積)を作成し、それを統合してDWHにする方式。
● DWHの主なデータモデル

データウェアハウスでは、以下の2つのデータモデリング手法がよく使用されます。

  • スター・スキーマ(Star Schema)
    中央に「ファクトテーブル」を配置し、周囲に「ディメンションテーブル」を配置するシンプルな構造。データの検索が高速。
  • スノーフレーク・スキーマ(Snowflake Schema)
    ディメンションテーブルをさらに正規化した構造。ストレージ効率は良いが、クエリが複雑になりやすい。
● DWHのメリット
  • データ分析の精度向上
    統合されたデータを基に、正確な分析・レポートが可能になる。
  • パフォーマンスの最適化
    OLAP(Online Analytical Processing)を活用し、高速なデータ分析を実現。
  • 意思決定のスピード向上
    ビジネスインテリジェンス(BI)ツールと連携し、データに基づく迅速な判断が可能になる。

データウェアハウスは、Google BigQueryAmazon Redshift などのクラウドサービスを活用することで、 より柔軟かつスケーラブルに運用できます。

設計手法を学ぶメリット

  • チーム開発で共通の設計ができる
  • コードの可読性が上がり、保守がしやすくなる
  • バグを減らし、開発の効率が向上する

まとめ

設計手法は、システム開発をスムーズに進めるための重要な知識ですが、超初心者が最初に集中して学ぶ必要はありません。ここではあくまでもこんな設計手法があるというと認識するだけで問題ありません。

まずはプログラミングの基礎を学び、実際にアプリを作る経験を積んだ後、必要になったタイミングで設計手法を学ぶのがベストです。

今は「こういう考え方があるんだな」とざっくり理解するだけでOKです。必要になったときに詳しく学べるように、少しずつ知識を増やしていきましょう!

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