Shell の基礎知識

中級者向けシェルスクリプト活用術:10の応用Tips

中級者向けシェルスクリプト活用術:10の応用Tips

シェルスクリプトの基礎をマスターしたら、次に進むべきは実践的な活用法です。このセクションでは、スクリプトをより効率的かつ信頼性の高いものにするためのテクニックや、実務に役立つアイデアを紹介します。自動化を進めたい方や、スクリプトの構造化やデバッグに課題を感じている方に最適な内容です。

プロセスのバックグラウンド実行

プロセスのバックグラウンド実行とは、シェルスクリプト内で実行されるタスクを並列に実行し、スクリプト全体の実行効率を向上させる方法です。特に時間のかかる処理や独立したタスクを同時に処理する場合に役立ちます。

シンプルなバックグラウンド実行

バックグラウンド実行は、コマンドの末尾に & を付けることで実現できます。また、すべてのバックグラウンドプロセスが完了するまで待機するには wait コマンドを使用します。

long_running_task &
echo "タスクがバックグラウンドで実行されています。"

複数タスクを並列実行

以下の例では、3つのタスクを同時に実行し、すべてのタスクが完了するのを待ちます。

task1 &
task2 &
task3 &
wait # すべてのバックグラウンドタスクが終了するまで待機
echo "すべてのタスクが完了しました。"

複数のデータセットを同時に処理する例です。

for file in dataset1.csv dataset2.csv dataset3.csv; do
  process_data "$file" &
done
wait
echo "すべてのデータ処理が完了しました。"

ログ収集と並列実行

以下は、異なるサーバーからログを収集するタスクを並列で実行する例です。

for server in server1 server2 server3; do
  ssh "$server" "cat /var/log/syslog" > "logs_$server.txt" &
done
wait
echo "すべてのログが収集されました。"

  • リソース制御:
    バックグラウンドプロセスが多すぎると、システムリソースが枯渇する可能性があります。xargs や GNU parallel を使用してプロセス数を制限する方法を検討してください。
  • 結果の同期:
    バックグラウンド実行では、プロセスの終了順序が不定になるため、結果の統合や順序制御が必要な場合があります。
  • エラーハンドリング:
    バックグラウンドプロセスでエラーが発生した場合の対処を設計する必要があります。

応用: プロセスのIDと監視

$! は、直前にバックグラウンドで実行されたプロセスのプロセスID(PID)を取得するための特殊変数です。

用途
バックグラウンドプロセスを個別に監視・制御する場合に使用します。

sleep 10 & # バックグラウンドで実行
pid=$! # バックグラウンドプロセスのPIDを取得
echo "プロセスID: $pid"
wait $pid # プロセスが終了するまで待機

この例では、sleep 10 のプロセスIDが $pid に保存され、そのプロセスが終了するまで wait で待機します。

$! を使うと、複数のバックグラウンドプロセスを同時に管理できます。
主に並列処理や長時間タスクの監視で役立ちます。

プロセスのバックグラウンド実行を活用することで、シェルスクリプトの効率を飛躍的に高めることができます。同時に、リソース管理やエラーハンドリングの設計にも注意を払うことで、堅牢なスクリプトを作成できます。

条件分岐を活用した柔軟な処理

シェルスクリプトにおける条件分岐は、複雑なロジックや多様な状況に応じた処理を効率的に実現するための基本技術です。特に if 文と case 文を活用することで、スクリプトの柔軟性を飛躍的に向上させることができます。

条件分岐についてもっと詳しく知りたい場合は、次の記事をご参照ください。

if文を活用した処理の分岐

if 文は、指定された条件が真(true)である場合に特定の処理を実行します。複数の条件が絡む場合には、elif を使用して分岐を増やすことが可能です。

コマンドの書式

if  [ 条件式 ];  then
    # 条件式が真の場合の処理
elif  [ 条件式 ];  then
    # 別の条件式が真の場合の処理
else
    # 全ての条件式が技の場合の処理
fi

使用例

この例では、入力された名前がファイルであるかディレクトリであるかを判定し、それぞれに応じたメッセージを表示します。いずれにも該当しない場合は「存在しない」と表示します。

read -p "ファイル名を入力してください: " filename

if [ -f "$filename" ]; then
  echo "$filename は通常のファイルです。"
elif [ -d "$filename" ]; then
  echo "$filename はディレクトリです。"
else
  echo "$filename は存在しません。"
fi

case文を活用した選択肢の処理

case 文は、1つの変数の値に基づいて複数の条件を簡潔に分岐させることができます。条件が多数ある場合、if 文よりも可読性に優れています。

コマンドの書式

case "$変数" in
     パターン1)
        # パターン1にマッチした場合の処理
        ;;
    パターン2)
        # パターン2にマッチした場合の処理
        ;;
    *)
        # どのパターンにもマッチしない場合の処理
        ;;
esac

使用例

この例では、ユーザーの入力に応じて操作(start, stop, restart)を実行し、該当しない入力に対しては警告を表示します。

read -p "実行する操作を選択してください (start/stop/restart): " action

case "$action" in
  start )
    echo "サービスを開始します。"
    ;;
  stop )
    echo "サービスを停止します。"
    ;;
  restart)
    echo "サービスを再起動します。"
    ;;
  *)
    echo "不明な操作です。start/stop/restart のいずれかを選択してください。"
    ;;
esac

条件分岐の活用で得られるメリット

  • ロジックの明確化: 条件に応じた処理を分かりやすく記述できる。
  • スクリプトの柔軟性向上: 多様な状況に対応した処理が可能になる。
  • エラー処理の簡略化: 無効な入力に対して適切なエラーメッセージを表示可能。

条件分岐を適切に設計することで、より実用的で信頼性の高いスクリプトを構築することができます。

ループの効率化

シェルスクリプトにおいて、ループ処理は大量のデータや複数のタスクを効率的に処理するために欠かせない技術です。このセクションでは、forwhile の基本的な活用法に加え、xargs や並列処理を活用した効率化のテクニックを紹介します。

for と while の基本構文

forwhile は、条件に基づいて繰り返し処理を実行するための構文です。

ループ処理についてもっと詳しく知りたい場合は、次の記事をご参照ください。

for ループの例

コマンドの書式

for 変数 in リスト; do
  # 実行するコマンド
done

この例では、カレントディレクトリ内のすべての .txt ファイルをループ処理し、各ファイル名を出力します。

for file in *.txt; do
  echo "Processing $file"
done

while ループの例

コマンドの書式

while [ 条件式 ]; do
  # 実行するコマンド
done

この例では、カウンターが 1 から 5 までの値を出力します。

counter=1
while [ $counter -le 5 ]; do
  echo "Counter: $counter"
  counter=$((counter + 1))
done

xargs を活用した並列処理

xargs は、パイプで渡されたデータを引数として受け取り、複数のコマンドを効率的に実行するためのツールです。特に、-P オプションを使用することで並列処理を実現できます。

コマンドの書式

echo "データ" | xargs [オプション] [コマンド]

xargs を使った並列処理の例

複数のコマンドを同時に実行する際に、xargs を活用することで処理時間を大幅に短縮できます。この例では、カレントディレクトリ内のすべての .txt ファイルを 4 並列で表示します。

# 4つの並列でファイル内容を表示
ls *.txt | xargs -n 1 -P 4 cat

  • ループ処理では、条件を明確に設定し無限ループを避ける。
  • 大量のデータを扱う場合は、xargs や GNU parallel を活用して処理を並列化する。
  • リソース消費に注意し、必要以上にプロセスを生成しない。

効率的なループ処理を実践することで、スクリプトの実行時間を短縮し、より多くのタスクを柔軟に処理できるようになります。

高度な変数展開

シェルスクリプトでの変数展開は、データ操作や条件分岐を簡潔に記述するための強力なツールです。特に、文字列の操作やデフォルト値の設定など、効率的なスクリプト作成に欠かせません。このセクションでは、高度な変数展開テクニックを紹介します。

特殊変数などについてもっと詳しく知りたい場合は、次の記事をご参照ください。

基本的な変数展開

変数展開の基本は、変数の値を参照するために $変数名 を使用することです。

name="John"
echo "Hello, $name"

常勤例では、変数 name の値が展開されて "Hello, John" と表示されます。

デフォルト値の設定

変数が未設定または空の場合にデフォルト値を使用するには、${変数名:-デフォルト値} を使用します。

file_path=${1:-"/default/path/to/file"}
echo "File path: $file_path"

上記の例では、$1 が設定されていない場合、/default/path/to/file がデフォルト値として使用されます。

部分文字列の抽出

文字列から一部を切り出すには、${変数:開始位置:長さ} を使用します。

str="abcdef"
echo ${str:2:3}

上記の例では、文字列 "abcdef" の 2 文字目から 3 文字分を切り出し、cde が表示されます。

文字列の置換

変数内の文字列を置換するには、${変数/検索文字列/置換文字列} を使用します。

str="hello world"
echo ${str/world/universe}

上記の例では、worlduniverse に置き換えられ、"hello universe" と表示されます。

文字列の長さを取得

変数の値の文字数を取得するには、${#変数名} を使用します。

str="hello"
echo ${#str}

上記の例では、文字列 "hello" の長さ 5 が表示されます。

  • 引用符の使用: 変数展開時にスペースや特殊文字を含む場合は、ダブルクオート (") で囲む。
  • 未設定変数の扱い: 未設定の変数を使用するとエラーになる場合があるため、デフォルト値の設定を活用する。
  • 効率性: 複雑な処理は関数や外部コマンドに任せる方が可読性を損なわない。

高度な変数展開を活用することで、スクリプトをより効率的かつ柔軟に作成できます。文字列操作やデフォルト値の設定は、特に大規模なスクリプトで有用です。これらのテクニックを実践に取り入れ、より強力なスクリプトを構築しましょう。

入力と出力のリダイレクト

シェルスクリプトにおいて、入力と出力のリダイレクトは、データを効率的に処理し、ログやエラーを整理するための基本的かつ強力な機能です。このセクションでは、リダイレクトの基本から応用までを解説します。

リダイレクトについてもっと詳しく知りたい場合は、次の記事をご参照ください。

リダイレクトの基本構文

リダイレクトは、コマンドの標準入力(stdin)、標準出力(stdout)、標準エラー出力(stderr)を別の場所に送る際に使用されます。

  • 標準出力をファイルにリダイレクト: command > file
  • 標準エラー出力をファイルにリダイレクト: command 2> file
  • 標準出力と標準エラー出力を同じ場所にリダイレクト: command > file 2>&1
  • ファイルから標準入力として読み込み: command < file

標準出力をファイルに保存

ls -l > output.txt

この例では、ls -l の結果が output.txt ファイルに保存され、画面には表示されません。

標準エラー出力をファイルに保存

ls nonexistentfile 2> error.log

この例では、存在しないファイルをリストしようとした際のエラーメッセージが error.log に保存されます。

標準出力と標準エラー出力を同じファイルに保存

ls -l > all_output.log 2>&1

この例では、ls -l の結果とエラーメッセージがどちらも all_output.log に保存されます。

ファイルから標準入力として読み込む

sort < unsorted.txt > sorted.txt

この例では、unsorted.txt ファイルの内容をソートし、その結果を sorted.txt に保存します。

応用例: ログ管理

リダイレクトを活用することで、システムのログ管理やエラー記録を効率化できます。

# 定期的なログ保存
df -h > disk_usage.log 2>> error.log

この例では、ディスク使用状況を disk_usage.log に保存し、エラーメッセージは error.log に追加します。

  • 既存ファイルの上書き: > を使用するとファイルが上書きされます。上書きを避けるには >> を使用して追記します。
  • エラーの確認: 標準エラー出力を適切に管理し、スクリプトの動作を監視します。
  • ファイルパーミッション: 書き込み権限がない場合、リダイレクトが失敗するため注意が必要です。

入力と出力のリダイレクトを活用することで、シェルスクリプトの柔軟性と効率性を大幅に向上させることができます。ログ管理やエラー処理を効率化するための基礎として、リダイレクトの技術を活用しましょう。

スケジューリングと自動実行

シェルスクリプトを定期的に実行することで、タスクの自動化や効率化を図ることができます。このセクションでは、スケジューリングの基本となる cronat コマンドを中心に解説します。

cron を使用した定期実行

cron は、タスクを指定した時間に繰り返し実行するためのスケジューリングツールです。crontab を使用して設定を管理します。

コマンドの書式

分 時 日 月 曜日 コマンド

各フィールドの説明:

  • 分: 0~59
  • 時: 0~23
  • 日: 1~31
  • 月: 1~12
  • 曜日: 0~7(0 と 7 は日曜日)

例: 定期実行の設定

# 毎日午前2時にスクリプトを実行
0 2 * * * /path/to/script.sh

# 毎週月曜日の午前5時にログをクリア # ※1:指定した時間に 標準出力を /var/log/app.log にリダイレクト する構文です。
0 5 * * 1 > /var/log/app.log

上記の例では、実行されるコマンドが記述されていない ため、実質的に空の出力が /var/log/app.log に書き込まれます。
空の出力を上書きするため、ファイルの内容が完全にクリアされます。

  • 意図的なファイルクリア: ファイルをリセットするために 「>:リダイレクト」 を使用することは一般的ですが、誤って重要なデータを上書きしないよう注意が必要です。
  • 代替案: echo "" > /var/log/app.log のようにして、明示的にファイルをクリアする方が意図を明確にできます。

※1:リダイレクトが「クリアになる」理由
「>」の挙動はリダイレクトの記号で、指定したファイル(この場合 /var/log/app.log)に新しい内容を書き込むとき、既存の内容を(空)で上書きします。もしくは「: (ヌル)」を使って「: >」でも同様の結果が得られます。その結果、ファイル /var/log/app.log の以前の内容が消え、指定したコマンドの出力だけが保存されるため、ファイルが「クリア」されたように見えます。「空」もしくは「ヌル」の出力を上書きするため、ファイルの内容が完全にクリアされます。

at を使用した一回限りの実行

at コマンドを使用すると、指定した時間にタスクを一回だけ実行できます。

ココがダメ

echo "コマンド" | at 時刻

例: 一回限りのスケジューリング

# 現在時刻から1時間後にスクリプトを実行
echo "/path/to/script.sh" | at now + 1 hour

# 翌日の午前10時にスクリプトを実行
echo "/path/to/script.sh" | at 10:00 AM tomorrow

ログ管理とスケジューリングの統合

スケジューリングされたタスクの実行結果を記録することで、問題発生時のトラブルシューティングを容易にできます。

# スクリプトの実行結果をログファイルに記録
0 2 * * * /path/to/script.sh >> /var/log/script_output.log 2>&1

  • ユーザー権限: スケジュールされたタスクが適切な権限で実行されることを確認してください。
  • エラーハンドリング: 標準エラー出力をログに記録し、タスクの失敗を追跡可能にします。
  • スケジュールの競合: 同時に実行されるタスクがリソースを競合しないよう注意してください。

スケジューリングを活用することで、手動作業を減らし、効率的なタスク管理が可能になります。cron を使った定期実行や at を使った一回限りの実行をマスターし、シェルスクリプトの自動化をさらに進化させましょう。

ファイル操作のテクニック

シェルスクリプトでは、ファイル操作を効率的に行うためのコマンドや手法が多数用意されています。このセクションでは、ファイルのコピーや移動、バックアップ、削除といった基本操作から、高度なファイル管理テクニックまでを紹介します。

基本的なファイル操作

ファイル操作の基本コマンドは次のとおりです。

  • コピー: cp
  • 移動: mv
  • 削除: rm
  • 作成: touch

使用例

#ファイルをコピー
cp source.txt destination.txt

#ファイルを移動
mv old_name.txt new_name.txt

#ファイルを削除
rm unwanted_file.txt

#空のファイルを作成
touch new_file.txt

ファイルバックアップの自動化

重要なファイルを安全に管理するためには、バックアップを定期的に行うことが重要です。以下はバックアップを自動化するスクリプトの例です。

# バックアップスクリプト例
src_dir="/path/to/source"
backup_dir="/path/to/backup"
timestamp=$(date +"%Y%m%d_%H%M%S")

mkdir -p "$backup_dir"
cp -r "$src_dir" "$backup_dir/backup_$timestamp"
echo "Backup completed: $backup_dir/backup_$timestamp"

この例では、指定したディレクトリをバックアップし、タイムスタンプ付きのフォルダに保存します。

find コマンドを活用した高度なファイル管理

find コマンドを使用すると、条件に基づいてファイルを検索し、管理することができます。

使用例

# 7日以上前に更新されたファイルを削除
find /path/to/dir -type f -mtime +7 -exec rm {} \;

# サイズが100MBを超えるファイルをリストアップ
find /path/to/dir -type f -size +100M

この例では、大量のファイルを効率的に管理することができます。

rsync を活用した効率的なファイル同期

rsync は、ファイルのコピーや同期を効率的に行うためのツールです。特にバックアップやリモートサーバーへの転送に便利です。

使用例

# ディレクトリをリモートサーバーに同期 rsync -avz /local/dir user@remote:/remote/dir # 差分のみを同期 rsync -avz --update /source/dir /destination/dir

この例では、rsync を活用して必要なファイルのみを効率的に同期します。

  • 上書きリスク: コピーや移動の際に、既存ファイルが上書きされないように注意します。
  • 権限の確認: ファイルやディレクトリの操作には適切な権限が必要です。
  • バックアップの定期化: 自動化スクリプトを使用して、重要なデータのバックアップを定期的に行います。

ファイル操作のテクニックを活用することで、シェルスクリプトの効率と柔軟性を高めることができます。基本的なコマンドの使い方から高度な管理ツールの活用まで、スクリプトに適用して業務効率化を実現しましょう。

外部コマンドの組み込み

シェルスクリプトは、外部コマンドを活用することでその機能を大幅に拡張できます。外部コマンドを適切に組み込むことで、データ処理、ファイル操作、ネットワーク通信などの複雑な処理を簡潔に実現できます。このセクションでは、よく使われる外部コマンドの組み込み方と応用例を紹介します。

外部コマンドの基本

シェルスクリプトから外部コマンドを実行するには、コマンドをスクリプト内で直接呼び出します。

# 外部コマンドの例
date
uname -a
df -h

この例では、現在の日付、システム情報、ディスク使用状況を取得する外部コマンドを実行しています。

データ処理に便利な外部コマンド

データ処理には、awksed のようなコマンドが便利です。

シェルスクリプトとawkの関係

シェルスクリプトは、複数のコマンドを組み合わせて処理を自動化するスクリプトです。awk は、シェルスクリプトの中で使うことが多い強力な外部コマンドの1つです。

例として、以下のシェルスクリプトでは、awk を使用してデータを加工しています。

!/bin/bash
sample.txt から2列目を抽出して表示
awk '{print $2}' sample.txt

awk とは、テキスト処理用のプログラムで、特にファイルやデータストリームを行単位・列単位で操作するのに適しています。
データを抽出、変換、集計する用途で非常に便利です。

sed の例

# テキストファイル内の文字列を置換
sed 's/old_string/new_string/g' file.txt

この例では、file.txt 内のすべての old_stringnew_string に置き換えます。

ネットワーク操作に便利な外部コマンド

ネットワーク通信やAPI連携には、curlwget が役立ちます。

curl の例

# APIからデータを取得
curl -s "https://api.example.com/data" | jq '.'

この例では、APIから取得したJSONデータを jq を使って整形して表示します。

wget の例

# ファイルをダウンロード
wget https://example.com/file.zip

この例では、指定されたURLからファイルをダウンロードします。

システム管理に便利な外部コマンド

システム管理には、pstop のようなコマンドが有用です。

プロセス管理の例

# 実行中のプロセスをリストアップ
ps aux | grep process_name

この例では、特定のプロセス名を持つプロセスを検索します。

依存関係の確認: 使用する外部コマンドがスクリプトを実行する環境で利用可能であることを確認してください。
コマンドのエラーハンドリング: 外部コマンドの失敗を検知し、スクリプト全体に影響を与えないように設計しましょう。
実行パフォーマンス: 外部コマンドの使用が多すぎるとスクリプトの実行時間が増加する可能性があるため注意が必要です。

外部コマンドを適切に組み込むことで、シェルスクリプトの柔軟性と機能性を大幅に向上させることができます。よく使われるコマンドを理解し、それを活用してスクリプトの可能性を広げましょう。

通知とアラート設定

シェルスクリプトで通知やアラートを設定することで、スクリプトの完了やエラー発生時に即座に気付くことができ、効率的な運用が可能になります。このセクションでは、メール通知やSlackを活用したアラート設定を解説します。

メールを使った通知設定

シェルスクリプト内で mail コマンドを使用すると、スクリプト実行結果やエラー通知をメールで送信できます。

基本構文

コマンドの書式

echo "本文" | mail -s "件名" 宛先アドレス

使用例

# スクリプトが正常に完了した場合の通知
echo "スクリプトが正常に完了しました。" | mail -s "スクリプト完了通知" user@example.com

# エラー発生時の通知
if [ $? -ne 0 ]; then
echo "スクリプトでエラーが発生しました。" | mail -s "エラー通知" user@example.com
fi

この例では、スクリプトが正常終了またはエラー発生した場合に、メールで通知します。

Slackを使った通知設定

Slackを使った通知は、チーム全体での情報共有に非常に便利です。curl コマンドを使用して、SlackのWebhook URLにメッセージを送信します。

Webhook URL の設定

SlackでWebhook URLを作成し、それをスクリプト内で使用します。

使用例

# Slack通知のスクリプト例
webhook_url="https://hooks.slack.com/services/XXXXX/YYYYY/ZZZZZ"
message="スクリプトが正常に完了しました。"

curl -X POST -H 'Content-type: application/json' \
--data "{\"text\":\"$message\"}" $webhook_url

この例では、Slackの指定したチャンネルにメッセージを送信します。

  • メール設定: システムに mail コマンドが正しく設定されていることを確認してください。
  • Webhook URLの管理: Webhook URLは機密情報として扱い、公開しないよう注意しましょう。
  • 通知頻度の管理: 通知が多すぎると重要なメッセージを見逃す可能性があるため、適切に設定します。

通知とアラート設定を活用することで、スクリプトの動作状況やエラー発生をリアルタイムで把握できます。メールやSlackなどのツールを活用し、効率的な運用を実現しましょう。

実行環境の設定

シェルスクリプトを信頼性高く実行するためには、スクリプトを動かす環境を適切に設定し、依存関係や実行条件を管理することが重要です。このセクションでは、実行環境を整えるための基本的な手法と注意点を解説します。

スクリプトの実行環境を確認する

スクリプトが特定の環境(OSやシェル)で実行されることを想定している場合、実行環境を確認するコマンドを使用します。

基本例

# 現在のシェルを確認
echo $SHELL

# OSの種類を確認
uname -s

この例では、現在使用しているシェルとOSの種類を確認できます。

依存関係の管理

スクリプトが使用する外部コマンドやツールが正しくインストールされていることを確認します。

外部コマンドの確認

# 必要なコマンドが存在するか確認
command -v curl >/dev/null 2>&1 || { echo "curl が見つかりません。" >&2; exit 1; }

この例では、curl コマンドがインストールされていない場合、エラーメッセージを表示してスクリプトを終了します。

エラーハンドリングの設定

スクリプトの信頼性を向上させるためには、エラーが発生した際の挙動を明確に設定します。

基本例

# スクリプト内でエラーが発生した場合に即時終了
set -e

# デバッグモードを有効にする
set -x

set -e を使用すると、エラー発生時にスクリプトの実行を停止します。set -x を使用すると、実行中のコマンドがログとして表示されます。

環境変数の設定

環境変数を使用して、スクリプトの動作を柔軟に制御します。

基本例

# 環境変数の設定
export LOG_DIR="/var/log/myapp"
export CONFIG_FILE="/etc/myapp/config.cfg"

# 環境変数を使用するスクリプト
echo "ログディレクトリ: $LOG_DIR"
echo "設定ファイル: $CONFIG_FILE"

この例では、スクリプト内で設定された環境変数を使用してファイルパスを管理しています。

  • 環境の一貫性: スクリプトが複数の環境で動作する場合、環境間での設定差異を最小限に抑えます。
  • 依存関係のドキュメント化: 必要なコマンドやツールをスクリプトのコメントに記載し、利用者に分かりやすくします。
  • セキュリティ: 環境変数に機密情報(例: APIキーやパスワード)を保存する場合、適切に管理します。

実行環境の設定を適切に行うことで、スクリプトの信頼性と柔軟性を大幅に向上させることができます。環境確認、依存関係の管理、エラーハンドリング、環境変数の設定を活用し、あらゆる環境で動作する堅牢なスクリプトを構築しましょう。

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