独立前は、誰もが不安でいっぱいですが、近い将来、フリーランスとして独立を考えている方が独立初期に躓かないために「独立前にやるべきことチェックリスト」をご紹介します。
全てのフリーランスにとってふさわしい必須ToDoをぜひチェックしてみてください。
お金まわりに関するToDo
独立する直前は「どんな事業を展開しようか」と理想像ばかりイメージしがちですが、正直、独立から半年ほどは”とにかく家計が安全にまわるか”を意識されるのがよいかと思います。
お金まわりで躓かないために、以下のToDoを独立前の会社員時代に確認しておきましょう。
クレジットカードを作っておく
もし、独立前の段階でクレジットカードをお持ちでないのであれば、必ず会社員の時にクレジットカードを作っておきましょう。可能であれば、2〜3枚作っておくと安心です。
なぜ、独立前にクレジットカードを作っておく必要があるかというと、フリーランスは安定的な収入が約束されていないことから社会的な信用が低いと見なされ、新規のクレジットカード作成の審査が降りないケースが多いためです。
クレジットカードのショッピング・キャッシング機能を使えば、独立初期の収入の目処が立ちづらい時期でも、実際の引き落としは利用の翌月末になるので、資金繰りまでの猶予が生まれます。
もし、まとまった支払いが難しい場合は、リボ払いで月々の支払いを少額にすることもできます(ただし、リボ払いは利息が加算されるため、基本的にはお薦めされません)。
クレジットカードは年会費無料のカードがよいでしょう。詳しい「フリーランスのクレジットカードの選び方」については、以下の記事をご覧ください。
ローンを組んでおく
「貸付」を意味する各種ローン契約は、できれば会社員時代に済ませておきましょう。代表的なローンには「住宅ローン」がありますが、そのほかにも以下のようなローンが存在します。
- リフォームローン:住宅リフォームの費用
- マイカーローン:新車、中古車の購入費用
- 教育ローン:小学校〜大学へ通うための教育費
- ブライダルローン:結婚式や披露宴の費用
- 医療ローン:治療費や医療器具の購入費用
- 美容整形ローン:美容整形、脱毛、エステなどの費用
- 出産ローン:出産準備、出産費用
- 不妊治療ローン:人工授精や体外受精の費用
- ソーラーローン:太陽光発電にかかる費用
- トラベルローン:国内、海外旅行の費用
- 運転免許ローン:運転免許取得、合宿免許の費用
- デンタルローン:インプラントや歯列矯正などの費用
- 葬儀ローン:通夜葬儀、暮石などの費用
- フリーローン:使い道が限定されない多目的ローン
- 国の融資:生活費、教育費 など
※ 参考元:お金について学べる情報サイト
ローンを独立前に組んでおいたほうがよい理由は、先ほどのクレジットカード作成と同じく、会社員時代のほうが安定的な収入があると判断され、承認がおりやすいからです。
ただ、ローンは融資であるため利率に応じて利息がつき、将来返済する必要があります。ですから、事業成功の兆しがまだ見えていない独立前は「そもそも本当にそのローンを組む必要があるか?」と慎重に判断するようにしましょう。
賃貸の解約期間や引越し時期を確認しておく
フリーランスとして独立したての頃は、想定外のイレギュラーな家計支出を減らす意識が重要です。もちろんカンペキにはできなかったとしても、予期しない多額の支出は避けましょう。
多くの方にとって、家計におけるまとまった支出の最たるものが「家賃」ではないでしょうか。家賃のかからないご実家にお住みなら別ですが、賃貸のマンションやアパートに住んでいる場合、賃貸の契約内容や解約に関する契約を確認しておきましょう。
もし、契約更新の期日が迫っているなら、同じ住居に住み続けるのか、引越しをするのか決断しなければなりません。後ほどご説明しますが、フリーランス初期は固定費が少ないほど安心です。今より安い物件に引っ越すとしても、初期費用や荷物の運搬代などまとまったお金がかかりますので、どの時期に引っ越すべきかは慎重に計画しましょう。
家計の固定費を見直しておく
経営では、粗利益を考える際に「売上 ー コスト(支出)= 粗利益」というシンプルな式がよく用いられます。これは、家計においても同じ。家計の固定費の額がモロに家計のゆとりに繋がります。
先ほどの「売上 ー コスト(支出)= 粗利益」の式でいうと、経営でも家計でも手元に残るお金(この式でいう「粗利益」)を大きくするには、売上を伸ばすことに尽力するよりもコスト(支出)削減をはかったほうがラクに粗利益を増やすことができるといわれています。企業が不況時にコストカットをすすめるのは、このためです。
固定費を「定期的に必ず支払うことが決まっている支出」と定義するならば、家計の固定費には以下のような項目があげられます。
- 住居費:家賃
- 通信費:インターネットや携帯代
- 水道光熱費:水道代、電気代、ガス代
- 教育費:子どもの学費、給食費、習い事の月謝
- 保険料:医療保険、生命保険、損害保険
- そのほか:スポーツジム、エステ、新聞、アプリやWebサービス
フリーランスとして独立する前には、これらの固定費が毎月(または半年)にいくらかかっているか洗い出しましょう。そして、それらの固定費のうち、”本当に必要な固定費、必要のない固定費”を整理しましょう。
これまで、何度も同じことをお伝えしていますが、独立初期は収入の見込みがまだ立たず収益の予想が立ちにくいことから、不要な固定費は少なければ少ないほどいいです。少しでも家計に余裕を生むためにも、思いきった固定費の削減を検討しましょう。
十分に貯金しておく
フリーランスとして独立する前には、十分に余裕のある貯金をしておきましょう。必要な貯金額は、独立後にどのような事業モデルで進めていくのか、独立前からすでにお客様(案件)は獲得できているのか、などによっても異なります。
あくまで目安ですが、だいたい独立後3ヶ月間は無報酬だったとしても家計のやりくりができる程度には貯金しておくと安心です。地方在住の方で独り身の方であれば、「ひと月 15万円 × 3ヶ月 = 45万円」ほど。都内在住の方でお子さんがいる方は、「ひと月 40万円 × 3ヶ月 = 120万円」ほど必要でしょうか。
会社を退職し独立する直前は、誰もが少なからずは士気高揚し「退職したらすぐガンガン稼いでやるぞ」とモチベーションが高くなっているものです。ですが、会社を退職すると、それまであった定時出社や上司・同僚の目がなくなるので、想像以上に仕事への意欲に浮き沈みが生まれがちです。
独立後の事業/収入計画については”悲観的に計画し、楽観的に取り組んでいく”という姿勢を意識するようにしていきましょう。
必要最低限の税知識を学んでおく
フリーランス・個人事業主の面倒ごととして多くの方がイメージするのが、税金の処理。確かに、税については深掘っていくと複雑なのですが、フリーランスが独立前に抑えておくべき税金の種類は、以下の3つで充分だと思います。
- 所得税:個人の所得に対して課せられる税金
- 消費税:消費に対して課せられる税金
- 住民税:住民票のある都道府県、市区町村が行政サービスを維持するために課せられる税金
慣れないうちは、税金をはじめ会計に関する内容は堅苦しくて難しい印象を受けるかもしれませんが、落ちついて理解すれば簡単です。ぜひ、以下の解説記事をチェックしてみてください。
確定申告の流れを理解しておく
確定申告とは、課税対象となる人が毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得にかかる税金を計算し、確定申告書等の必要書類にまとめて、毎年2月15日から3月15日までに申告・納税する手続きのことです。
日本の納税は「自己申告制」。つまり、シンプルに確定申告を説明すると毎年初に「前年の所得は●●円でした」と申告する作業だと理解してください。
そのなかで、簡易的な記載で済む「白色申告」と事前の開業届の提出や簿記の作成、決算書の作成が必要となる「青色申告」の2つの申告方法があり、「年間の総収入額 ー 必要経費 ー 医療費控除 ー 社会保険料控除等 = 事業所得」となります。
シンプルに”と言いましたが、少しややこしく感じられたでしょうか。いったん、独立前は「確定申告とは、1年の総収入や必要経費、医療費、社会保険料等の控除を申告書などにまとめ税務署に提出すること」と覚えておいてください。
国民健康保険について理解しておく
皆さんもご存知のように、日本では「国民皆保険制度」が導入されているため、会社を退職しフリーランスとなっても健康保険に加入することができます。ただし、会社が加盟している健康保険から、独立後は所轄の市区町村で運営されている「国民健康保険」に移る必要があります。
意外と知らない方も多いのですが、会社員の時は健康保険料は会社が半額負担してくれています。しかし、フリーランスの国民健康保険では、保険料は全額自己負担であるため、月々の保険料が高くなることを事前に理解しておきましょう。
国民健康保険は原則として退職日の翌日から14日以内に所轄の市区町村に届け出を提出する必要があります。14日を過ぎても受付はしてくれますが、会社の保険証が有効でなくなってしまうと、いざ病院にかかった時に医療費全額負担となってしまいますので、退職したらすぐ届け出を出すようにしましょう。
国民年金について理解しておく
フリーランスとして独立すると、年金のかたちも変わります。会社員だと会社経由で「厚生年金」に加盟しているのですが、退職すると脱退してしまうため「国民年金」への加入手続きが必要となります。国民年金への加入手続きは、以下の書類を持参のうえ、所轄の市区町村の国民年金窓口で行ないます。
- 印鑑
- 年金手帳
- 身分証明書(運転免許証やパスポートなど)
- 退職を証明できる書類(離職票、退職証明書、健康保険喪失証明書 など)
日本の年金制度は「二階建て」の制度であるため、会社員は実質的に「国民年金」と「厚生年金」に加入しています。年金は納付額に対して受給額が変動するため、仮に国民年金に20〜60歳まで加入し満額納付したとすると、2019年の受給額は月額6.5万円。ちなみに会社員は、おおよそ2倍程度は支給されると考えてよいでしょう(およそ12〜15万円ほど)。
まとめ
ある意味、手厚く保護されていた会社員時代と比べ、フリーランスはすべて一人で手続きを行ない、事業を動かしていかなければなりません。その分、独立前は”何をどこまで準備したらいいのか”不安になり困惑されている方もいらっしゃることでしょう。
独立前にやるべき準備は、一つひとつ理解・確認しておけばそこまで複雑ではありません。記事でご紹介した「お金まわりに関するToDo」は、独立直後にスムーズに事業を進め、家計を安定させるために抑えておいたほうがいい項目です。